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NPO法人 難病支援ネット・ジャパン

NPO法人 難病支援ネット・ジャパン

NPO法人難病支援ネット・ジャパン 代表理事
伊藤 たてお さん

NPO法人難病支援ネット・ジャパン 理事
永森 志織 さん

日本の患者団体活動の記録を遺す貴重な資料を収集・整理し公開

難病支援ネット・ジャパンは2007年に難病支援ネット北海道として発足しました。設立のきっかけは、長く患者団体活動を続けていく中で、全国のさまざまな患者団体の過去の資料が手元に集積していたことでした。1940年代後半、日本の患者運動の黎明期の、貴重な手書きの会報誌などもあります。

どの団体もそうですが、設立初期の資料は特に重要で、そこには治療者も研究者もいない中、本当に悩み、困っていることが吐露されています。患者・家族が書き記し、それをマスコミが報道し、世論をつくり、法律をつくる参考資料にもなってきました。たとえば1972年に制定された「難病対策要綱」には、どのような患者団体の声や行動が反映されたのか。さまざまな資料から読み解いていくことができます。残念ながら、そのような貴重な資料は団体の代表が亡くなった場合などに、たちまち散逸してしまいます。だからこそ収集・整理・保管し、公開していかなければならないという思いでこの団体を立ち上げました。当初のプロジェクト名は「日本患者運動史」でしたが、インターネットの普及に伴い、現在は「日本の患者会WEB版」と改称し、当団体の活動の柱となっています。企業からの助成金や寄付で活動を始めましたが、2013年度からは厚生労働省委託事業「難病患者サポート事業」として補助金を受け運営しています。会報誌などの膨大な資料をデジタルコンテンツ化する作業は、障がい者就労支援施設に委託。障がい者の方々の給与、またパソコンのスキルアップにつながると喜ばれています。

「北海道」から「ジャパン」へ活動を広げるために団体名を改称

2018年11月、「難病支援ネット北海道」は、「難病支援ネット・ジャパン」に改称しました。日本の難病対策や医療技術をアジアの人々に提供できないか企画をつくって応募したことがありました。アジアにももちろん難病患者がいて、診断もされず、専門医もいない地域があります。まさに日本の70年前の状況と同じです。日本の難病対策を海外にアピールするために、患者団体を通して専門医にかかれない患者を日本に招き、専門医に診てもらう。また、遠隔医療で現地の主治医と日本の専門医をつなぐというプランがスタートしました。その際に、難病支援ネット北海道の名称がネックになりました。一般的に、また行政側からも北海道に限った活動というイメージがあると。そこで、全国的な、海外も含めた活動団体と認識されるように名称を変更しました。こころざし自体は設立当初から北海道に限定してはいなかったのですが、やはり名称は大切だということを実感しました。

全国難病センター研究会を国内持ち回りで年2回開催

2003年に設立された全国難病センター研究会は、都道府県(現在は政令指定都市も)に設置された難病相談・支援センターの役割や運営方法、専門医や地域医療との連携システムなどを研究する会です。研究大会を毎年2回、1回は東京で、1回は他道府県を持ち回りで開催しています。当初は北海道難病連に事務局を置いていましたが、2007年からは難病支援ネット・ジャパン(当時 難病支援ネット北海道)が事務局を担い開催しています。難病相談・支援センターの運営は都道府県および政令指定都市に任されており、運営団体や形態、規模、活動状況なども一様ではなく、多くの課題を抱えています。そのような状況をふまえ、この研究会ではセンターの相談員はもちろん、地域難病連、患者団体、医療・行政・企業関係者など、ジャンルを問わず参加できることが特徴です。難病の相談支援をさまざまな角度から研究するという主旨のもとに継続し、2018年には第1回開催地の北海道札幌市で第30回目を迎えることができました。

災害備蓄用パン「JPAパンだ !! 」を販売

災害備蓄用パン「J PAパンだ!!」 災害備蓄用パン「J PAパンだ!!」 難病支援ネット・ジャパンと(一社)日本難病・疾病団体協議会(JPA)、北海道空知郡南富良野町の障がい福祉サービス事業所「なんぷ〜香房」の三者が協力し、災害備蓄用パン「JPAパンだ! !」を製造・販売しています。缶入りのパンで5年間保存でき、卵不使用のアレルギー対応、嚥下困難な人にも食べやすく、水で溶けば離乳食にもなります。ヘルスケア関連団体からも注文をいただき、佐賀県のふるさと納税返礼品にも選定されました。
2018年に北海道胆振東部地震が発生し、道内ほぼ全域が停電する、ブラックアウトが発生しました。近年は行政や医療機関も災害に備えて大量に水や食品の備蓄を行っています。今後も医療施設、自治体、教育機関、企業などに「JPAパンだ! !」を購入、備蓄してもらえるように、PR活動に力を入れていきたいと考えています。

さらなる資料公開へ向けて課題と向き合い、活動に取り組む

「日本の患者会WEB版」は、これまで収集した資料、新たに発信されている会報誌、全国難病センター研究会や全国患者・家族集会などのイベントの報告書、実態調査報告書などもできるかぎりデジタル化する作業を進めています。ただ、WEBでの情報公開は、患者団体からなかなか承諾を得られないという課題があります。個人情報保護法の問題やWEB版ということへの戸惑いがある団体が多いのも実情です。今後は、患者団体へ資料公開の意義の説明に努めつつ、難病支援ネット・ジャパンにはこれだけの資料が整理・保管されており、必要な場合は提供できることを社会にアピールしていこうという方向で動いています。難病患者と家族の記録を後世に伝えていく。その揺るぎないビジョンと役割を担い、活動を続けていきたいと考えています。

NPO法人 難病支援ネット・ジャパン

・組織の概要
■ 設立年 2007年7月 難病支援ネット北海道として設立(2011年NPO法人に移行)
 2018年11月 難病支援ネット・ジャパンに改称

・事業内容
■「日本の患者会WEB版」の編纂
■ 全国難病センター研究会 研究大会の開催(事務局)
■ 災害備蓄用パン「JPAパンだ!!」の販売
■ 機関誌「ななかまど通信」発行