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あけぼの会

あけぼの会

Breast Cancer Network Japan あけぼの会 会長
深野 百合子 さん

団体存続への思いが強く"新生"あけぼの会が新しいシステムのもとホームページを軸に活動スタート

あけぼの会は乳がんの患者団体として1978年に発足しました。乳がん体験者の会員が、相談事業や情報を提供・発信し、また社会に広く乳がんを啓発していく活動を行っています。
2018年、ワット会長が勇退され、東京の本部事務局を閉じることになりました。理由は新会員の減少により事務所維持が困難になったこと、また、全国にある会のネットワークがうまく機能し人材が育っていること、がん対策基本法によるがん相談支援センターが充実したことなど、時代の変化もあると思います。
あけぼの会はかつて、本部のもとに全国都道府県に40の支部をもつ全国組織でした。2007年にその全国組織を変更し、自立できる支部はそれぞれ代表を置き、独立採算で運営し、地域に密着した活動を行う。自立が無理な支部は本部に所属するという組織体制になりました。本部と各地域の自立した会が混在し、ネットワークでつながるという、特殊な組織体制だと思います。現在、全国22ヶ所にある地域の会は、都道府県名の前に、「あけぼの」がつく名称(あけぼの福岡、 あけぼの埼玉など)で呼ばれています。
会長の勇退により、本部をいかに継続していくか。なくすという選択肢もありましたが、多くの会員から継続してほしいという声が寄せられました。各地域で自立しているといっても、要となる本部がなければ、独 特 のスタイルでの活動の良さがなくなり、ネットワーク力も弱くなるかもしれません。私自身も継続の思いが強く、会長を引き継ぐことになりました。

新しいシステムのもとホームページを軸に活動

旧会報誌と新会報誌 旧会報誌と新会報誌 新システムは、会長+4人の副会長とホームページ担当の6人体制で、 2018年12月にスタートしました。私は本部専任ですが、副会長たちは地域の会の代表も兼任しています。このことによって各地域の情報が本部により多く入ってくるというメリットが生まれました。
本部事務所がなくなり、活動の軸はホームページになりました。情報発信のメインツールとして、会員に常にチェックしてもらえるよう更新頻度を高めています。巻頭メッセージはワット元会長の助けを得ながら、会長・副会長たちがローテーションで原則1週間に1度更新。本部、各地域のイベント情報や活動報告も常に新しいものをアップしています。もちろん一般の乳がん患者さんの大きな窓口となるよう、乳がん情報も充実させています。あけぼの会にやって来る人は、同じ体験をした人の話を聞きたいという声がとても多い。再検査と言われ泣きながらの電話が入る。自分はこれからどうなるのだろう。そんな不安にきめ細やかに対応し、情報提供できるのが、あけぼの会の役割だと思っています。そういう背景から、ホームページのコンテンツ、My Story(体験記)では、乳がんをいかに乗り越えてきたか、治療中の人の話では具体的な治療内容なども生の言葉で書かれています。さらに充実させていきたいと思っています。一方、インターネット環境のない人もいますから、会報も必要です。ワットさんの時代の「 AKEBONO NEWS」は150号まで続きましたが、2019年春号からは「あけぼのNEWS」に刷新し第1号を発行しました。

〈あけぼのハウス〉など これまでの活動を継続

<あけぼのハウス>は、ほぼ月1回全国的に開催している乳がん相談会で、地域の活動の要です。治療法についての疑問、精神的不安、同じ体験者と話がしたいなどの要望に応えています。また、医師の講演があると、セカンドオピニオンのような形で話せる場として、とてもありがたいと言われます。会員でない人も参加できるオープンな会です。
母の日キャンペーンは、毎年5月の母の日に、街頭でポケットティッシュを配布し、自己検診とマンモグラフィー検診の大切さをアピールしています。以前は本部主導で行っていましたが、今は地域の裁量で開催しています。ABCEF(あけぼの乳がん教育活動)は、、地域の保健所や学校、企業などからの要請を受けて出向き、乳がんの早期発見の重要性や、個人的体験を生の声で伝える活動です。これらの活動の開催予定や報告は、逐次ホームページで公開しています。

垣根を越えて他の団体との交流や情報交換を

入会セットの一部 入会セットの一部 乳がんの患者団体は全国に数多くあり、院内患者会や規模もさまざまです。私の住む福岡県でも複数あり、傾向としてはおしゃべ り会のようなスタイルが多いようです。そこに、再発のような難しい事例の相談があると 、あけぼの会を紹介されるようです。実は団体同士も仲良しで、他の会の代表をしつつ、あけぼの会の会員という人もいます。おしゃべりだけしたいという人もいるでしょう。それぞれの人のニーズで選べばいいと私は思います。ただ、これからは垣根を越えて、連携していくのも大切ではないかと。入会につながるものではありませんが、お互いに交流し、より広く情報交換もできます。VHO-netには、各地のリーダーが参加している地域もあり、今後もいろいろなことを学んでいきたいと思っています。

時代に即した組織や仕組みづくりで次世代に引き継ぐ

2019年5月 あけぼの福岡「母の日キャンペーン」 2019年5月 あけぼの福岡「母の日キャンペーン」 あけぼの会では、従来のような東京本部が中心となった活動や全国規模の活動ができなくなりましたが、今年は例年どおり「全国大会 in 名古屋」を企画し、準備中です。ただ問題は会員が減少し収入が減る中、今後、諸費用をどのように調達していくのか。あるいは全国大会そのものをやめるのか。また、あけぼの会は年間任意団体を貫いてきましたが、今後もこのままでいいのか。組織の仕組みや細かなルールも時代に即して検討していかなければならないと考えています。
地域の代表の意見も聞きつつ、副会長たちとも知恵を出し合い、うまく役割分担をし、話し合いながら運営していきたいと思っています。これまでどおり「患者会は今、困っている人のためにある」の精神を受け継ぎ、「再び、誇り高く美しく!」をモットーに、乳がん患者の支えであり続けたい。そして、あけぼの会を次世代に引き渡せるようにしていきたいと思っています。

Breast Cancer Network Japan あけぼの会

・組織の概要
■ 設立年 1978年
■ 会員数 本部会員 500名 地域会員(全国22ヶ所)2,000名

・活動内容
■ ホームページでの情報発信
■ あけぼのハウス
■ 会報「あけぼのNEWS」(年4回)発行 ■ 医療講演・相談会
■ 全国大会
■ 母の日キャンペーン
■ ABCEF(あけぼの乳がん教育活動)など


◆ ワット隆子さん プロフィール ◆

・VHO-netの立ち上げにも参加
1977年に乳がんの手術を受けたことを契機に、翌78年、乳がん体験者の集い「あけぼの会」を設立。以後、日本最大級の乳がん患者団体に育て、2018年の勇退まで40年間、会長職をライフワークとする。講演会や乳がん体験者が語る教育活動、国際交流など多彩な活動を展開。また、VHO-net立ち上げメンバーの一人として、2001年に開催された第1回ヘルスケア関連団体ワークショップでは世話人も務める。