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役立つ情報を提供して社会に働きかける
「インターネット版全国車いす宿泊ガイド」

HOW TO/第12回
役立つ情報を提供して社会に働きかける「インターネット版全国車いす宿泊ガイド」

社団法人 全国脊髄損傷者連合会

本年2月に、「インターネット版車いす宿泊ガイド」を開設した全国脊髄損傷者連合会は、このサイトにより脊髄損傷者だけでなく社会全体に役立つことをめざし、さらに活動資金源としての可能性も模索しています。そこでインターネット版ガイドの企画制作を担当した千葉均専務理事、制作に協力した株式会社キロックスの澤 輿志博氏に、その経緯や意義についてお聞きしました。

インターネット版ガイド開設の経緯

社団法人全国脊髄損傷者連合会(全脊連)は、脊髄損傷者に対するさまざまなサポートを行い社会復帰と自立更生の場を確立し、また医療制度の充実と福祉の向上をはかり「どんなに重い障がいがあってもそれぞれの地域で普通に暮らせる社会」をめざして活動してきた団体です。2002年に社団法人になってからは特に脊髄損傷者だけではなく、広く社会に役立ち、社会に貢献できる障がい者団体となることを目標に掲げています。

1982年に初版を発行した『全国車いす宿泊ガイド』は、その代表的な活動で、掲載軒数も初版の300軒から、2001年発行の第4版では1700軒と大幅に増え、広く障がい者や高齢者に貢献してきました。この経緯をふまえて、さらに利便性を高め、今まで集めたデータとノウハウをより多くの人々に還元するために誕生したのが「インターネット版全国車いす宿泊ガイド」です。

近年、宿泊施設などのバリアフリー環境はかなり整備されてきましたが、ホテルなどのホームページでは、バリアフリー設備は詳しく紹介されていないことが多く、設備が有効に活用されていないのが現状です。インターネット版車いす宿泊ガイドでは、設備の紹介写真も一施設につき30枚まで掲載が可能です。また、掲載施設には、IDとパスワードを割り振り、入力作業や更新作業は施設側が行うため、全脊連としては労力を費やすことなく、常に最新の情報を提供することができます。また紹介ページからの予約システムも準備中で、施設側にも利用者の拡大やバリアフリー施設の活用という大きなメリットがあります。今後は、掲載軒数を増やし、また予約システムを利用すると全脊連に手数料がもたらされる仕組みにすることも検討中です。

協力した「株式会社キロックス」は、もともと自動ドアやロックを手がける企業で、全脊連とも以前からかかわりがあり、インターネット版車椅子ガイドの開設に関してはサイト制作費用を含めて全面的に協力したということです。澤社長は、「誰でも、ケガをしたり、重い病気にかかったり、障がいを負うかもしれません。自分たちもいつバリアフリーにお世話になるかはわかりません。住みよい社会にしていきたいという思いで協力しました」と語ります。

バリアフリーの橋渡しをめざす

インターネット版ガイドが開設されたことにより、情報を「いつでもどこでも誰にでも」提供できることに加え、「情報の流れ」を改善していくことができると全脊連では考えています。従来の、障がい者の要望を全脊連が集約し、行政に訴え、法律を作り、事業者が改善していくという流れが、インターネットによって障がい者や高齢者のニーズが宿泊施設に直接届き、また、必要な情報がユーザーにも直接届くようになると期待できます。全脊連では、この事業を通じて、宿泊施設とユーザー、健常者と障がい者の「橋渡し」をめざし、宿泊施設と健常者にもっと障がい者のことを知ってもらい、障がい者側に対しても積極的に社会に参加していくための橋渡しをしたいと考えているのです。 「インターネット版車いす宿泊ガイド」のサイト開設に際して、妻屋理事長は「患者団体はデモや要求だけをしている時代ではないのです。自分たちから、社会に働きかけていく時代だと認識しています」と述べました。新しいヘルスケア関連団体の活動のあり方がここにあるようです。