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MSキャビン 情報誌『バナナチップス』リニューアル 読みやすく、
わかりやすい情報誌を目指して

HOW TO/第17回
MSキャビン 情報誌『バナナチップス』リニューアル 読みやすく、わかりやすい情報誌を目指して

特定非営利活動法人 MSキャビン 理事長 中田郷子さん
MS(多発性硬化症)の患者と家族をサポートする「MSキャビン」では、隔月で発行する情報誌『バナナチップス』を、今年から大幅にリニューアルしました。患者さんや家族に役立つ情報を、的確にわかりやすく伝えていきたいというMSキャビンの中田さんに、今回のリニューアルについてお聞きしました。

Q.リニューアルのきっかけを教えてください

『バナナチップス』は、MS(多発性硬化症)の基礎から最新情報までを伝える情報誌として年間6回、約3400部発行しています。

従来はB5サイズでモノクロでしたが、MSの患者さんには若い人、特に若い女性が多いので、読者層にあわせてカラフルな情報誌にしたいと以前から考えていました。また、全体的に文章が長く、1ページあたりの文章量も多いため、読みづらく理解しにくいのではないかと感じていたので、ポイントを絞って、思い切って文章量を少なくしたらどうだろうと考えたのです。

そこで、フルカラーでA5サイズにして、サイズを小さくした分、ページ数とコンテンツの種類を増やし、全体の情報量は減らさないようにしたのが今回のリニューアルです。

制作はどのように進めているのですか

『バナナチップス』は、編集顧問の専門医と私が中心になって制作しています。毎年11月に年間計画を立て、それに基づいて各号の構成案を決めてから、専門医に執筆を依頼したり、取材を行ったりして進めていきます。ただし、できるだけ最新情報を伝えていきたいので、臨機応変にタイムリーな話題も取り上げ、年間方針もきめ細かく見直すようにしています。

コンパクトなサイズにリニューアルしたので、専門医に執筆を依頼する場合も「できるだけ短い文章でわかりやすく」とお願いしていますが、どうしても文章量を減らせない場合もありますので、ページ数を増やすことなどで対応しています。

実際の編集作業は私の担当です。作業工程や作業量はリニューアル前とあまり変わりませんが、カラー印刷になって、インタビューした人の好きな色を使って誌面を構成するなど、ちょっとした遊び心も生かせるようになって編集作業が楽しくなりました。

カラー印刷にして制作コストが増えたのではないですか

確かに、リニューアルした『バナナチップス』の制作コストは倍近くに増えました。その分は講演会の回数を減らすなどして、予算を回すつもりです。 情報誌も講演会もどちらも充実させていくのが理想ですが、予算には限りがあります。それならば、開催場所や参加者が限定される講演会より、全国の多くの読者に直接届く情報誌を優先して、予算をかけて充実させたいというのが私たちの考え方です。

編集作業や発送作業が負担になっていませんか

隔月刊で発行しているので、年中原稿に追われている気がしますが、負担を軽くする工夫はしています。インタビューの際は、前もって相手先に質問内容を知らせておいて効率的に話を聞いてメモを取り、取材後は内容を忘れないうちに原稿を作成します。遠方に行った場合は帰りの電車の中で書くこともあります。印刷に関しては、印刷会社が細かい部分を調整してくれるなど協力的なのでとても助かっています。発送はメール便を利用し、発送作業は外注しています。何もかも自分たちでやろうと無理をせずに、外注できるところは任せるようにしています。

リニューアルについて読者の方の反響はいかがですか

カラフルで楽しくなったと好評で、「読みやすくなった」「わかりやすくなった」という感想も多く、私もうれしく思っています。

意外な反響としては、写真を楽しみにしてくれている人が多いようです。カラー印刷の場合、誌面を構成するうえでも写真が重要になるので、講演会などで各地に出張した時に撮影したり、スタッフにも協力してもらって季節の写真を撮りためたりしています。

情報誌を作るうえでいちばん大切にしていることは何ですか

「読み手を考える」ということですね。MSは若い患者さんが多く、電車の中や、あるいはベッドで横になったままでも、どこでも気軽に読めるものが求められます。また、新聞や雑誌、インターネットなどにさまざまな情報がある中で、本当に患者さんや家族の役に立つ情報を確実に届けて、しっかり理解してもらうことが重要だと思っています。ですから、いつも読者の立場に立って、読みたくなるようなもの、読みやすいもの、わかりやすいものを作っていこう、届けていこうと考えています。

今後はどういうことに取り組んでいく予定ですか

『バナナチップス』の中で『ポテトチップス』として小児MSの保護者向けの情報を提供していますが、7月には、新たな試みとして小児MS本人に向けた新聞を発行しました。子どもの場合、学校とのかかわりなど必要な情報も違うので、そうした面をカバーしたいと考えています。

また、最近力を入れているのが、団体の紹介や講演のポイントをハガキサイズにまとめた『ハガキチップス』です。読みやすく持ち帰りやすく、保存しやすいというのが特長です。

そして、事業報告書や治療に関する小冊子なども『バナナチップス』と同じサイズに統一して、読みやすくわかりやすくすることを心がけています。どんな発行物も、伝えたい情報が確実に伝わるように心がけながら作っていきたいと思います。

多発性硬化症(Multiple Sclerosis ; MS)
脳・脊髄、視神経の病気で、厚生労働省が指定する特定疾患。原因は不明ですが、神経を覆っている「ミエリン」というものを自分自身で壊してしまうことで発症すると考えられています。
日本国内にはおよそ12000人の患者さんがいると言われ、男性より女性に多く、平均発症年齢は30歳前後です。症状は、視力障がい、運動障がい、感覚障がい、ふるえ、疲労などさまざまで、個人差が大きいのも特徴です。