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活動レポート第10回(2006)

活動レポート第10回(2006)

ヘルスケア関連団体の地域学習会は、回数を重ね、話し合いを重ねるなかで、それぞれの会としての方向性がはっきりしてきたようです。各団体の取り組みを参考に他の団体の活動が広がったり、地域がまとまることにより医療者との連携等の課題についても具体的な活動が始まるなど、一歩ずつ着実に進んでいることが見受けられます。地域学習会をさらに発展させていくために、また、まだ地域学習会のない地域にも新たなネットワークを築いていくために、各地域学習会の取り組みを参考にしていただきたいと思います。

VHO東北ヘルスケアネット
第8回東北学習会 in 仙台(9月23日)
活動3年目を迎えて、活動方針を再確認災害対応をはじめ、地域のさまざまなテーマに取り組む

東北ヘルスケアネットの第8回学習会が9月23日に仙台で開かれました。 東北学習会は、ホームページの作成や災害時の対応をテーマに分科会を行うなど、積極的な活動を展開してきました。今回の学習会ではまず、今後の方向性や基本的な考え方を再確認する時間を設け、「障がいや疾病を持つ人が、健常者と同じように生活するのに伴って生じる困難を広く認知してもらうために、さらに議論と努力を続けること」を基本方針としました。 そして、「行政、政治、企業それぞれへのアプローチ」、「医療機関や医療従事者等、報道機関との連携」、「一般市民への周知活動」、「障がい者団体相互の情報交換をすること」を活動方針とし、具体的な活動計画として「障がい者の災害時の対応について」、「医療従事者との連携を図るため方法」、「障がい者による講演会活動」、「障がい者の実態調査(東北福祉大学との共同)」などについて協議や情報交換を実施していくことを決めました。 参加者からは、疾患や障がい、当事者や家族、支援者などの立場を越えて活動を続けていきたいという意見や、病気や障がいに対する偏見が強い東北ならではの取り組みが必要という意見なども出され、今後も社会や政治の変化に伴い、その時々に適したさまざまなテーマを取り上げていくことが確認されました。 午後は、東北ヘルスケアネット研修会として、仙台ロゴセラピー研究所吉田香里氏による「障がい理解」のグループワークが行われました。ロゴセラピーとは、人生の意味を扱う心理療法で、今回は、「一つひとつの障がいをどう理解するか」「障がいをどう受容していくか」などという課題について、グループでの話し合いと発表が行われました。それぞれの団体で相談事業などに関わることの多い会員からは、疾病や障がいについての相談時やアドバイスを行うときの相手に接する態度を学んだという感想も聞かれ、有意義な研修会となったようです。

参加団体
(社)日本リウマチ友の会宮城県/ (社)日本リウマチ友の会福島県支部/ NPO法人 地域生活オウエン団せんだい/ あすなろ会(若年性関節リウマチ親の会)/ ピンクのリボン/ 仙台ポリオの会/ 仙台市視覚障害者福祉協会/ 仙台市障害者社会参加推進センター/ 全国低肺機能者グループ東北白鳥会/ 全国膠原病友の会/ 中途視覚障害者の復職を考える会(通称:タートル)/ 福島県腎臓病患者連絡協議会/ 東北福祉大学/ 仙台市青葉区社会福祉協議会

第4回九州学習会 in 佐賀(9月23日)
医療情報の収集・提供についてのワークショップを開催

佐賀県難病相談・支援センターで約30名(内医師4名)が参加し開催されました。今回のテーマは「医師とのよりよいコミュニケーション―患者力の向上について―」。特に医療情報の収集・提供に絞り、4班に分かれてのワークショップ形式で行われました。まとめの発表からピックアップしてお知らせします。

●医療情報を提供する場合、公的機関・患者自身の体験・専門医や研修会からの情報などを分類し評価する。主観を排除し出所を明らかにする。選択肢を提供し患者自身に判断してもらうことが大切では。

●医療情報は、「(1).医療や薬、制度などの情報」、「(2).QOLを向上するための情報」に大きく分かれる。発症間もない場合は、(1).を重視しがちだが、慢性疾患と気づくと(2).の方が重要だとわかってくる。(2).を提供することこそ、ヘルスケア関連団体の役割ではないか。

●地域との連携がなければ病院は単なる病院でしかない。人間が生きていく上で病院はすべてではなく、一部である。第三者との関わりを医療側からも勧めるべきでは。同時にヘルスケア関連団体は医師と連携し、患者の目線で情報を提供するのが役割ではないか。

●患者力は、患者自身が疾患についての知識をつけることで高まる。また、さまざまな社会資源(行政・患者会等)を活用することも患者力向上につながる。難病相談・支援センターやヘルスケア関連団体は患者や市民にもっと認知されるよう、関係機関との横のつながり、さらにPR活動を活発にしていくことが必要である、といった意見が出されました。

第3回関東学習会 in 東京(10月1日)
「医療者に伝える方法」について2団体が事例発表知識やノウハウの共有化を図る

「医療者に伝える方法」について2団体の事例発表が行われ、その後、関東学習会の今後の方向性が話し合われました。

事例発表の概略

MSキャビン

(発表者 理事長 中田郷子さん)

MSキャビンは、多発性硬化症について情報収集や提供(HP、情報誌)を行い、医療セミナー、講演会の開催、勉強会開催などを積極的に行っている団体です。中田さんからは、医療情報とは当事者にとって「病気とつき合う武器」である、そして、医療者向けの研究会での発表や学会展示などを通じて、神経内科関連の医師にはアプローチできるようになったので、今後は、小児科医関連での活動をしたいと述べました。協力医師の見つけ方や連携のとり方、製薬会社とのつきあい方など、具体的なノウハウも多く、参加者は熱心に聞き入っていました。最後に、中田さんは「お金を集めて何かするのではなく、お金は評価であり、患者さんのためになる活動を続けていれば、お金は集まってくる」と締めくくりました。

「楽患ねっと」

(発表者 副理事長 岩本ゆりさん)

昨年は医療者・医療系学生を対象に、「患者の目から見た医療を知る/患者から学ぶこと」というシンポジウムを開催しました。このシンポジウムから、一方的に意見を述べる場ではなく、対面での意見交換、少人数でのディスカッションを行うべきだという反省が生まれ、最近ではそこに力を入れているそうです。また、看護師やケアギバー(患者家族、ヘルパー、ボランティアなど)と患者が360度全方位で学ぶ場(360度カンファレンス)を設けたり、ホームページ上で医療者・患者両者が書き込みでき、結果を閲覧できるアンケートの実施を行うなど、患者の声を生かすためのさまざまな方法を試みている様子を述べました。