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活動レポート第13回(2007)

活動レポート第13回(2007)

2007年、7番目の地域学習会として誕生した北陸学習会は、夏には第2回学習会を開催し、富山県を中心に活発な活動を始めました。また、すでに学習会を重ねてきた他の地域学習会では、テーマを決めてプロジェクトチームを立ち上げたり、専門家を招いて実習を行ったり、それぞれ独自の活動を繰り広げています。10月に東京で開催されたヘルスケア関連団体ワークショップとの連携も深まってきました。そんな活動の中から今回は、関西、北陸、関東、九州の学習会の模様をご紹介します。

第10回 関西学習会 in 大阪(7月7日)
臨床心理士を招き、患者会リーダーとしてのカウンセリングの心得を研修

今回は臨床心理士の安住伸子さんを講師に招き、リーダーの心得や相談の受け方の講習を行いました。「ブラインドウォーク」というワークではペアを組み、一人が目隠しをし、もう一人がリードしてフロアを連れ歩き、10分間で交代するというもの。「一歩先がないような感覚」「目隠しされた人の気持ちはどうだろうか」「リードする方が難しい」などの感想が出ました。安住先生は「ここでは支えてもらう人、支えられる人の心理状況を経験します。目隠しの不安が気持ちが寄り添うことでやわらぐ。相手のことを体で知ることが大切です」と解説。質疑応答では、だらだらと話す相談が多いという質問に対して、「相手は準備ができていないと理解。次回の日時や制限時間を伝え、つながりをつくってあげる」。また、相談時に泣いているケースが多いという質問には、「泣ける場所であることを相談員の自負に」と応えました。そして「もたないと思ったらベテランに相談するなど、相談員が倒れないための工夫が必要。常に支える側ではなく、ときには支えてもらう側にまわることも大切です」と語りました。「模擬発表と検討」では、大人のADHD(注意欠陥多動性障がい)の会「関西ほっとサロン」代表の広野ゆいさんが、「大人になった当事者からのメッセージ」と題して発表し、その後、関西学習会ホームページ「わ・ネットKansai」の内容の検討も行い、充実したプログラムでの1日を終えました。

第2回 北陸学習会 in 富山(7月8日)
北陸地区の学習会が本格的にスタート
「患者力」をテーマに、グループ討論会を行う

第2回北陸学習会が富山市・サンフォルテにて開催されました。顔合わせと患者会運営のノウハウなどの情報交換を行った第1回を経て、今回は、「患者力とは何か」をテーマに3グループに分かれてグループ討論会が行われました。

発表では最初のグループは「ピア(peer:仲間)」をテーマとし、「共感共有できる仲間は大切」「患者さん、家族も笑顔を心がけると、お互いに前向きになれる」「就労や家庭での役割も大切」などの意見を述べ、「患者力として生きる力、生き甲斐を重視していきたい」とまとめました。次のグループは、患者力をポジティブ、ネガティブなものに分けて討論を行い、「ポジティブに生きていくには、病気にこだわらない生き方をめざそう。患者自身が踏みだすことが大切。作り笑顔でもいいから、いつも笑っていると前向きになれる」と述べました。最後のグループは、「ネットワーク」をキーワードとしてあげ、「情報がないと支援が受けられない現状では、ヘルスケア関連団体などの支援、ピアサポートが必要」「患者として社会を動かす力には、正しい知識、ヘルスケア関連団体に参加するアクションが大切」と発表しました。グループ発表を受けて、運営委員が「北陸学習会としてのネットワークを、新潟県や石川県にも広げていきたい。地域の仲間で支え合い、学び合っていきたい」という思いを語り、北陸学習会を締めくくりました。 初参加のメンバーも加わり、各グループで討論したことを模造紙にまとめる作業を通してチームワークが生まれ、気軽に自分の意見や思いを語る姿も見られました。その後、11月には「患者力を有効に活かすために」をテーマに話し合いが行われました。

参加団体
エッセンスクラブ/富山IBD/ 天使のつばさ北陸支部/ OPLL(後縦靱帯骨化症)/ 富山県パーキンソン病友の会/ がんの子供を守る会/ 富山ALS/捕食の会/ 富山県ソーシャルワーカー協会/ 認知症の人と家族の会富山県支部/ 難病ネットワークとやま/ 脳外傷友の会「高志」富山/ 遷延性意識障害者の会

第7回 関東学習会 in 東京(7月29日)
受診ノートの作成に向かって、活発な意見交換
今後はプロジェクトチームで具体的な作業へ

第7回関東学習会では、前回に引き続き受診ノート作成についての検討と話し合いが行われました。まず前回までに作成された「参考項目」について、項目の数が多すぎて実際に作成・使用までにたどりつけないのではないかという意見が出たため、「使いやすい受診ノート作りのためにお互いに素材を提供する」という方向性を確認しました。

その後2つのグループに分かれて、「使いやすく・使いたい受診ノート」を作成するための討論が行われました。グループ発表では、「項目数が多いのでモデルを作った方がいい」「細かい点は各団体で工夫できるように作成のためのマニュアルや取扱説明書が必要」「デザインやイラストも工夫しよう」などの意見が出されました。

今回の討論を経て「関東学習会がめざす受診ノート」の方向性はほぼ明確になったので、今後はプロジェクトチームを作り、受診ノート作成の具体的な作業に取り組むことになりました。プロジェクトチームには、これから受診ノートを作成したいと考えている「竹の子の会」も参加し、作成までのプロセスや作成により生じる悩みや問題をケーススタディとして検討していくことになりました。また作成までのアドバイスや、メンテナンスを引き受けるバックアップチームも医療関係者を中心に作られることになりました。

最後に、今回初めて参加したメンバーが「受診ノートはとても興味があり、学習会に参加するのが楽しみだった。疾患別にどのようにできるのか期待している」「医師であり、患者でもあるが、患者団体を立ち上げようとしているので、いろいろ教えてほしい」「受診ノートの必要性を強く感じた。所属の団体では今まで話題に出なかったことなので、持ち帰り報告したい」などの感想を一人ずつ述べました。

関東学習会には、多様な団体や組織に属するさまざまな立場のメンバーが参加しており、毎回、医療関係者側と患者側、双方からの意見交換が行われ、討論が白熱することもありました。ようやく受診ノートの概要も明確になり、大きなステップを踏み出したようです。「独自の受診ノート」の完成が期待されます。

第6回 九州学習会 in 佐賀(8月26日)
多くの団体が直面している「情報」をテーマに活気あふれるワークショップを開催

佐賀県難病相談支援センターにおいて第6回九州学習会が開かれました。今回は、ヘルスケア関連団体提供の情報の活用について「みんなどうしている?」をテーマに、ウェブ、会報誌、講演会、相談等の問題事例について、3グループに分かれて討論し、グループ発表が行われました。

最初のグループは、情報に関する問題を支援者側、患者側、医療者側の立場に分け、支援者側としては「情報提供することは必要であるが、基本は患者さんの自己決定、自己責任である」。患者としては「正確で有効な知識を得て情報に惑わされず、勝手な自己診断をしない、賢い患者になるべき。病気を受容し、病気と共に生きることを考えよう」。そして、医療者側からは「裕福な人だけがセカンドオピニオンを得られる現状を変えたい」などの意見を発表しました。次のグループは、ウェブ、会報誌、講演会、相談事業など各事例について細かく意見をまとめました。「メールにはすべて答えようとしない」「正確な情報提供を行い、信頼される団体をめざそう」「HPだけでなく会報誌など印刷媒体は必要」「講演会の演者との打ち合わせは綿密に」「行政の企画には患者会の意見を積極的にアピールする」「出前講座も行っていこう」などの意見を発表しました。最後のグループは、インターネットの掲示板、メーリングリスト、メールなどの問題点について対策を具体的に提案しました。また「相談事業は、相談内容が多すぎで、重すぎるものが多いので関連専門機関との連携を強化する」「交流会では参加者には守秘義務はないことに留意する」ことなどを述べました。

発表を受けて、運営委員は「今日の発表を生かして、ヘルスケア関連団体や難病相談センターの質の向上を目指したい」と述べました。