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活動紹介 第32回(2012)

活動紹介 第32回(2012)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第20・21回 東北学習会 in 盛岡・福島(2012年8月18日/12月15・16日)
事例発表と講演、グループワークを組み合わせて拡大学習会も実施

2012年8月18日、第20回東北学習会が岩手県盛岡市のいわて県民情報交流センター アイーナで開催されました。

学習会では、まず、線維筋痛症友の会の山田章子さんが、ピアサポートを行う際の課題や悩みについて発表を行い、それに答える形で、東北福祉大学総合福祉学部教授の渡部純夫さんが、「よりよいピアサポート」をテーマに講演を行いました。渡部さんは「問題解決ができなくても問題を抱えながら生きることが大切」「解決が提供できない場合でも話を聞き、受け止めることは、相手を生かすことに貢献する」と述べました。

その後グループに分かれて「よりよいピアサポート」をテーマにグループワークを実施。渡部さんの「グループ発表を聞き人を支えていく難しさと奥深さを感じた」とのまとめの言葉に、参加者たちは深く共感している様子でした。

初めての盛岡市での開催に、岩手県や秋田県からの初参加もあり、東北でのネットワークづくりという東北学習会の願いが実りつつあることが感じられました。 続いて12月15・16日には、第21回東北学習会が福島市のコラッセふくしまで拡大学習会として行われました。

まず事例発表として、リウマチ友の会 福島県支部 支部長の渡辺政子さんが団体や支部の活動を紹介し、次に渡部純夫さんが「ピアサポートの在り方」をテーマに講演。その後、10月に東京で行われたワークショップと同様に「『共に』〜ピアサポートの未来」をテーマにグループワークを行い、それぞれのピアサポート活動を紹介し合い、課題や取り組みたい活動について話し合いました。

グループ発表後、渡部さんは「共通言語を持ち交流を深めて相手を理解すること、五感を刺激するような情報発信、それぞれの特徴を引き出すサポート、問題を抱えながらも成長すること、行政の活用などが重要だと感じた」と総括しました。

2013年度から活動再開予定の北海道学習会からも参加があり、今後の北海道、東北地域の交流が期待できる学習会となりました。

第25回 関東学習会 in 東京(2012年9月30日)
ピアサポートや災害手帳それぞれのテーマで、3組の事例発表を実施

ピアサポートや団体での活動について、できるだけ多くの人が事例発表を経験しようという取り組みを続けている関東学習会。2012年9月30日に東京・ファイザー本社で行われた学習会では3組の発表が行われました。

まず、全国膠原病友の会の「災害手帳」の取り組みを千葉県支部の関幸子さんが紹介しました。東日本大震災の際、必要な薬を処方されなかったり、避難先で専門医が見つからず、適切な治療が受けられなかったりしたケースがあったことから、症状や服用薬を記載できる手帳を作成したとのことでした。続いて、同会茨城県支部の千葉洋子さんが、行政に働きかけて難病患者見舞金制度を実現した経緯など、長年にわたる活動の様子を語りました。

次に、ピアサポート・エピソードを、日本ハンチントン病ネットワークの加瀬利枝さんが発表しました。加瀬さんは、家族の介護に苦労していた時に患者団体と出会い、仲間として受け入れられて感激したことや、経験を生かしてピアサポートを行う側になった経緯を語りました。壮絶な介護の経験があるからこそ患者や家族の気持ちが理解できると、今は積極的にピアサポートに取り組む加瀬さんの話に、多くの参加者が思いを共有しながら聞き入っていました。

最後に、摂食障害のある人のセルフへルプグループ、日本アノレキシア・ブリミア協会の鶴田桃エさんと高橋直樹さんが日頃の活動を紹介し、ピアサポートを行うには、拒食症や過食症などの症状の背景にある問題に注目することや、ともに生きていこうという姿勢が大切であることを語りました。

台風接近のため、予定より時間を短縮して行われた学習会でしたが、参加者から「3組とも貴重な話だった」「話を聞いて改めて仲間だと思えた」との感想が寄せられ、災害手帳については他の病気でも使えるように検討しようと話し合われるなど、充実した内容となりました。初めて参加した千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学教授の羽田明さんから医学教育への協力依頼もあり、今後、事例発表の経験が生かせる場が拡がることも期待できそうです。

第8回 東海学習会 in 愛知(2012年10月13・14日)
会議の進行スキル習得を組み込みながらのワークショップで議論・交流を深めた2日間

第8回東海学習会が愛知県のあいち健康プラザで開催されました。まずVHO-netの世話人でもある「くまもと パレット」の陶山えつ子さんが、自身の10年間の患者団体活動などについて講演。患者家族としての気づき、全国組織との関わり、学校教育の歪み、疾患は違っても共通する悩みが多いという発見などについて語られました。その後、4グループに分かれてのワークショップへ。陶山さんが問題を提起し、1テーマ15分で議論→発表→質疑応答を繰り返すという手法が用いられました。グループ内ではテーマ毎に司会者・発表者を交代する、時間内に必ず全員が意見を発表するなど、会議の進行スキルも学べるようなスタイルで行なわれました。「医療者とのよりよい関係をつくるには?」「活動を続けていくために大切なことは?」など5つのテーマについて活発な意見交換がなされました。

翌日は全国の地域学習会の活動報告を受け、今後、東海学習会でやってみたいことを話し合いました。その後、静岡県難病団体連絡協議会相談役の野原正平さんが「大災害時の難病患者対応マニュアルの見直しを考える」と題して講演。各グループで防災対策や避難時の対応などについて議論、発表がありました。

参加者からは「司会・発表役が全員一巡し、よい経験になった。自分の団体でもこの進行の手法を取り入れてみたい」「防災対策ではVHO-netも含めて、他の地域の患者団体との交流も大切だと実感した」などの感想が述べられました。

第19回 北陸学習会 in 富山(2012年11月3日)
初めて高岡市で開催 ワークショップと同テーマで、グループワークを行う

2012年11月3日、富山県高岡市の高岡市生涯学習センターで、第19回北陸学習会が開催されました。今回のテーマは、同年10月に行われたヘルスケア関連団体ワークショップと同じ「『共に』〜ピアサポートの未来〜」。ワークショップに参加したメンバーの報告を受け、北陸地域でそれぞれの団体が取り組むピアサポートや、これから取り組みたい活動についてのグループワークが行われました。

グループ発表では、「団体で行っている活動をピアサポートという視点で見直すと、それぞれの取り組みの意義や位置づけがよくわかる」「個人や団体の活動でも、常に社会とのかかわりを意識すると発信力が増し、アピールする機会が増えるのではないか」「ピアサポートとしての患者団体の活動には、参加しやすい企画や場所、参加することのメリットや楽しみも必要」などの意見が述べられました。注目したい活動としては、パーキンソン病などの難病患者が集い、リハビリテーションや交流会を行う「リハビリジム」(高岡市)、難病相談・支援センターと患者団体の連携により看護学校などで講演を行う「語り部」(石川県)などの活動が紹介されました。 全体討論では会報誌が話題となり、「もっと読みたくなるような会報誌にしたい」という悩みに、他のメンバーから「ひとこと近況紹介のコーナーが読まれている」「同じ立場の患者の訪問記が人気」などのアイデアが寄せられ、熱のこもった話し合いが続きました。北陸学習会は、地域のリーダーが団体運営の課題を共有し、お互いに悩みや苦労を聞き合う、まさにピアサポートの場であることが伺えます。また、「患者力」や「リーダー力」を養いたいと、グループ発表を進んで引き受ける参加者もあり、積極的な姿勢が印象的でした。

富山県の中でも石川県に近い高岡市で開催された今回は石川県や福井県からの参加者も目立ち、北陸学習会のネットワークが着実に根づいてきたことが感じられました。

第24・25回 関西学習会 in 大阪(2012年9月14日/11月10・11日)
学習会の柱である摸擬講演や異業種の活動から学ぶなど話し合いを重ねる

第24回学習会は、竹の子の会(プラダー・ウィリー症候群児・者 親の会)の美馬有希子さんが、教育者や医療従事者を対象とした摸擬講演を行いました。過食を特徴とする子どもたちの盗食や大量の買い食い、放浪癖など、幼少期から成長するにつれて変化していく実例を通して、学校や社会から温かく見守られることの大切さが語られました。講演後の検討では、関西弁を会話に盛り込んだ人を引きつける話術など、伝えるための技術を全員で共有し、講演に生かしていくことを確認しました。

第25回学習会は1泊2日の宿泊研修として開催。患者団体活動をいろいろな角度から見る目を養う試みとして、町おこしなどの活動を行っているシカトキノコ代表の藤田ツキトさんが「デザインの視点から考える発想力」、続いて、くまもとぱれっとの陶山えつ子さんによる「患者団体に経営者の視点を入れてみよう」という2つの講演を聞き、グループディスカッションを行いました。「できること」「やりたいこと」「求められていること」の3つがリンクするところにいい企画が生まれる、「できなければできる人を呼んでくればいい」という発想が新鮮だった、患者団体活動だけでなく多彩な活動の場を持つことがつながりを生むと実感した、患者団体活動と企業経営は相容れないものがあるのではないかなど、さまざまな感想や意見が出されました。また、災害時の対応やピアサポートについても議論し、充実した2日間であった反面、メニューが多すぎて話し合う時間が十分取れなかったという反省点も挙げられ、今後に生かしていくこととなりました。

第18回 九州学習会 in 熊本(2012年8月5日)
患者団体の活動に経営者の視点を入れてみよう

第18回九州学習会が熊本市国際交流会館で開催されました。テーマは「患者団体活動に経営者の視点を入れてみよう」。前回の「湯布院の町おこしの事例から学ぶ」に続く異業種交流企画第2弾です。まず患者団体のリーダーであり、職業は事業経営に携わる講師2名の話を聞きました。NPO法人ともしびの江頭邦子さんは、難病患者や障がい者が地域で働き自立生活ができることを目指し、就労継続支援B型事業所を設立。行政からの助成金で職員を雇い、現在3事業所を展開。農家でしいたけ栽培のノウハウを学び事業所をつくるなど、新規の取り組みで業績をあげていると発表。九州IBDフォーラムの中山泰男さんは、本職とボランティアでの患者団体活動の両立が信念と語りました。ただし、ボランティアであっても社会的責任を自覚し、書類提出の期限は守る、正しい情報を発信する、チャンスを逃さないなど、ビジネス感覚を持つことが大切と発表しました。参加者からは「行政の担当窓口や医療関係者しか視野に入れていなかった。経営者の視点で商工会ともつながれるのでは」「異業種交流では、難病患者のための観光事業など新しい発想が必要」などの声も聞かれました。その後、6グループに分かれてのワークショップでは、あらかじめ設定された3つの模擬患者団体の悩みについて解決策を話し合いました。また、経営者の視点で「ありえない」というような独創的な案も考えようという指示があった場面では、ユニークな案も飛び出し、充実した討論・発表となりました。

第19・20回 沖縄学習会 in 沖縄(2012年7月10日/11月17・18日)
ピアサポートをテーマに事例検討や各団体の活動内容、今後の取り組みなどを検討

沖縄学習会では前回から、沖縄国際大学教授で臨床心理士の上田幸彦さんを講師に招き、ピアサポートの成功・失敗例を検討することに取り組んでいます。第19回学習会はその第2回目。3人の団体リーダーの事例発表を通して、クライアントとは距離を保ち対等な関係を維持する、精神科領域の問題はまず専門家につなげることなどを学びました。また上田さんからは、ピアカウンセリングは本来その人がもっている力を引き出し、困難を乗り越える力をつけていくという役割もあると説明がありました。

第20回学習会はかんぽの宿 那覇レクセンターで宿泊研修として開催されました。今回のテーマは第12回ヘルスケア関連団体ワークショップのテーマである、「『共に』〜ピアサボートの未来〜」を受け継ぎ、2グループに分かれてワークショップ形式で進められました。まとめ発表では、行政・大学病院・患者団体との連携で作成した『おきなわがんサポートハンドブック』の冊子紹介や、外出が困難な患者さんの自宅で役員会を開催するなどの活動紹介がありました。気づきの部分では、個人としての活動も患者団体や社会とつながっていること、相談内容の記録や情報の蓄積、発信することの大切さが語られました。そして今後取り組みたいこととして、離島や交通条件等が十分ではない地域でもピアサポートができる仕組みづくり、医療・福祉関係者・行政も巻き込んでの交流会などが挙げられました。全体討論では、これまで各団体やVHO-netでやってきた活動が社会的意義のあることにつながっていくことを確認。継続して力をつけていこうと結びました。

第4回 四国学習会 in 徳島(2012年9月1・2日)
ピアサポートの意義を確認し問題の解決や方向性について話し合い宿泊研修で交流を深める

第4回四国学習会が徳島県のホテルサンルート徳島にて、1泊2日の宿泊研修として開催されました。まず、日本ハンチントン病ネットワーク代表補佐・相談役、VHO-net関西学習会の運営委員でもある中井伴子さんが「遺伝病のピアサポート」と題して講演を行いました。ハンチントン病についての説明、発症前遺伝子検査の功罪、稀少難病・遺伝疾患ならではの重荷を共有できる患者団体の大切さ、そしてVHO-netとの出会いから他の患者団体と横のつながりがもてたこと、リーダー同士のサポートや情報交換の素晴らしさについて語りました。講演を受けて2グループに分かれてのワークショップがスタート。それぞれの団体が実施しているピアサポートの悩みや事例などについて、懇親会も含めて熱心な議論が交わされました。

翌日のまとめ発表では、「相談する側とされる側の双方がほっとできるピアサポートが理想的だが、なかなかできていない」という現状、ピアサポートの講習会やマニュアルの必要性、1対1の相談だけではなく会員によるグループカウンセリングの有効性、また相談会に陶芸体験をプラスすることで好評を得た成功事例などが述べられました。他にも「ピアサポーターとしての自覚が足りなかった。この学習会を通してやるべきこと、目指すことの整理ができた」という意見が挙げられたことが印象的でした。四国学習会も回を重ねるごとに参加団体が増え、リーダー同士の意見交換の場としての成長を実感した学習会となりました。