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活動紹介 第34回(2013)

活動紹介 第34回(2013)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第7回 北海道学習会 in 札幌(2013年6月15日)
新たなメンバーが加わり、活動を再開道内のネットワークづくりを模索

休会していた北海道学習会が活動を再開し、6月15日、北海道難病センターにおいて第7回北海道学習会が行われました。

当日は、参加者がそれぞれ「団体としての課題」「リーダーとしての課題」について発表し合い、これから北海道学習会として、ともに活動していく意義について話し合いました。道内の広さと交通アクセスの悪さという条件の中で、多くのヘルスケア関連団体において「会員が集まりにくい」「活動に多額の交通費がかかる」「活動が札幌近辺に偏りがち」という共通課題があることを改めて確認。今回集まったメンバーも札幌在住であることから、今後は道内の各地方の団体と連携していくため、積極的に声を掛けていこうと提案がありました。また、多くの団体で会員の高齢化が課題となっており、後継者をどう育てていくかという点についても熱心な意見交換が行われました。

そして、全国脊柱靱帯骨化症患者家族連絡協議会の会長でもある北海道脊柱靱帯骨化症友の会の増田靖子さんが、各地方の団体がゆるやかにつながるネットワーク方式を採用した全国組織のあり方を紹介。本部と支部という縦の関係ではなく“地方の団体がそれぞれ独立し地域に根ざした活動を行いながら、全国的に情報や知識を共有し、共通の課題にはともに取り組む”というものです。このネットワーク方式では、柔軟な活動ができ、本部役員の負担も軽減されるとの発表に参加者たちの関心が集まりました。

北海道学習会は運営メンバーの不足から休会を余儀なくされましたが、今回、道内の団体が立場の違いを越えて集まり、自由に意見を交換することの意義を改めて共有し、「もっと多くの団体、より多くの人と知り合いたい」「北海道学習会の進むべき道が見えた」「さまざまな可能性や方向性を探りたい」などの前向きな意見を交わして学習会を終えました。北海道特有の課題もある中で、再スタートした北海道学習会の活動が、着実に進んでいくように期待し見守っていきたいものです。

第22回 東北学習会 in 福島(2013年6月23日)
各団体の活性化を図るため活動の成果や課題を紹介し助言し合う

6月23日、福島県郡山市のビッグアイにて第22回東北学習会が開催されました。今回は「もったいないVHO-netの活かし方」をテーマに、各団体の良いところや活動の成果、団体が抱える課題などを紹介し、助言し合うことによって、各団体の活性化を図ることを目指す学習会となりました。

グループワークでは、2つのグループに分かれて所属する団体の有意義な活動や、活動を進めていくうえでの課題、問題解決例などの意見交換を行いました。その後のグループ発表では、成果があった活動として「検診会のシステム確立」「緊急医療支援手帳」「充実した医療相談会」「イベント内容の多様化」などが紹介され、課題としては、「人材不足・リーダーの育成」「社会とのかかわり方」「親しさと馴れ合いのバランスの難しさ」「雪など天候による冬期の活動の難しさ」などが挙げられました。特に青森県や岩手県からの参加者は、県域が広く、交通アクセスも悪い中での活動の難しさや苦労を述べ、東北学習会ならではの課題を共有しました。

また、今回は医療関係者からの発言も目立ちました。東北福祉大学保健看護学科 講師の工藤洋子さんは、看護教育に携わる中で患者の生活実感を学生に伝え、“自ら考える医療職”を育てていくために、東北学習会で学んでいると発表。参加者からは「東北学習会をぜひ看護教育に役立ててほしい」という歓迎の言葉がありました。宮城県難病相談支援センター 難病相談支援員の鎌田美智代さんは「患者団体と連携を深めてセンターの活動も活性化していきたい」と述べ、いっそうコミュニケーションを深めていくことを確認しました。

最後に、運営委員の阿部一彦さんが、「疾病や立場の異なる団体が情報共有することができた。東北でのつながりを広げていくことが支え合いとなり、それぞれの団体の活動に活かせるものが増えて、有意義な学習会となるのではないか。これをご縁にこれからもともに活動していきましょう」と学習会を総括しました。

第9回 東海学習会 in 三重(2013年6月29日)
難病患者を取り巻く新たな制度についてJPA事務局長が講演を行う

第9回東海学習会が、三重県桑名市の桑名市民会館で開催されました。

障害者自立支援法の廃止から障害者総合支援法施行へという、ここ数年の難病患者を取り巻く環境の変化に伴い、新たな制度についての勉強会をしてほしいという声から今回の学習会のテーマを設定。一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA)事務局長、水谷幸司さんが「難病患者と新たな社会サービス〜何が変わるのか、変えなければならないか〜」と題して講演を行いました。日本の医療制度の仕組みや、障がい者の医療費負担軽減制度、障がい福祉サービスなどの歩みを説明しつつ、障害者総合支援法では「制度の谷間」を埋めるべく、「難病等」が障がい者の範囲に含まれたこと、しかしながら「障がい程度区分」では、当面、一部の対象疾患と部分的福祉適用というスタートになったことなどの現状を解説。JPAとしては危機感を持ちつつ、問題点を明らかにしながら、今後、改善の提言を行っていく方針であることなどが述べられました。

政治の変化もあり、医療や福祉の制度改革の経緯は非常に複雑で、1時間半という時間の講演内では十分に理解できない部分もあったという意見も出されました。しかし、厚生労働省のホームページなどもチェックしながら、国の医療・福祉政策の大きな動きを捉えておくことが必要であり、そして今後もJPA、各都道府県難病連、患者団体が、現場の声を施策に反映させていく努力をすることの重要性を再確認した学習会となりました。

第27回 関東学習会 in 東京(2013年6月30日)
看護職の立場からの発表とグループワーク今回も参加者が主体的に取り組む学習会を実施

6月30日、東京のファイザー株式会社本社で、関東学習会が開催されました。 毎回、経験発表や事例発表に基づいた意見交換や討論を実施している関東学習会。今回は看護職や、看護教育に携わってきたメンバーが、自らの活動や患者団体とのかかわりについて発表しました。

まず、杏林大学医学部付属病院 心理カウンセラーで看護師の荒尾みつ子さんが「患者団体の活動を看護に活かすには」をテーマに発表しました。荒尾さんは「医療者は患者団体との連携を看護教育に活かしたいと考えているが、団体の見極めが難しいと感じている。各団体が活動を蓄積し、自ら発信したりアプローチしたりすると連携が進むのではないか」と述べました。次に、横浜市立大学医学部看護学科 教授の松下年子さんが「アルコール依存症のセルフヘルプグループとのかかわり」について発表。松下さんは「患者や家族の身近な存在である看護師への理解を深めてもらい、つながっていくために看護職の立場からの観点で考えていきたい」と述べました。2人の発表を受け、「ピアサポートを医療に活かす」をテーマにグループ討論が行われ、「孤独感から守る、支え合うなどのピアサポートの重要性を発信しよう」「社会に向けて信頼性を高めるためにVHO-netを活かしていこう」などといった提案がありました。

さらに、「災害対策」「団体の課題」「今後の関東学習会の取り組み」などについてもグループ討論、全体討論を実施。全国膠原病友の会が作成した『災害手帳』の紹介や、東日本大震災の被災地でもあった茨城県の参加者から「心のケアには患者団体のピアサポートが有効であると行政や医療者からも評価された」との報告もあり、今後、災害対策を継続テーマとして取り組んでいくことが確認されました。

全員が主体的に参加するため、持ち回りで司会進行役を務め、順に自らの活動やピアサポートについて発表を行うスタイルも定着し、活気のある充実した内容の学習会となりました。

第28回 関西学習会 in 大阪(2013年6月30日)
乳がんの患者団体による模擬講演を通して講演技術の向上を検討

第28回関西学習会が、大阪市のたかつガーデンで開催されました。 関西学習会が発足以来、継続している「患者の声を医学教育に組み込む」ための模擬講演。今回は乳がん患者団体「あけぼの兵庫」代表の有本幸代さんが「乳がん検診の重要性」と題し、対象を一般市民に想定して行いました。有本さん自身、乳がん体験者であり、早期発見で手術を経て、現在、再発していない状態であることから、早期発見・早期治療の重要性が丁寧に語られました。イラスト入りの乳がん自己検診法も参加者に配布し、セルフチェックは月に1回、誕生日の日付など覚えやすい日に決めて行うといったようなきめ細かなアドバイスがなされました。続いて、乳がんと診断された後の治療法

や経済的な負担についてなどが紹介されました。 質疑応答では、女性の参加者が多かったこともあり、身近な疾患としてさまざまな質問が出され、同時に講演テクニックの検討が行われました。「乳がんになりやすいタイプの人についてまとめたスライドが1枚あった方が良い」「一般市民対象だが、もう少し有本さん自身の体験談を入れた方が良かったのでは」「講演の結びにあった“自分のためだけでなく家族、愛する人のために”検診に行くという言葉がとても心に響いた。講演の結びのメッセージは重要で、熟考したほうが良い」などの意見や感想が寄せられ、関西学習会が進めている講演のポイント集作成にも大いに役立つ学習会となりました。

第22回 沖縄学習会 in 沖縄(2013年7月8日)
ピアサポートの事例を継続して学習してきた成果を実感

第22回沖縄学習会が、那覇市NPO活動支援センターにて開催されました。 沖縄国際大学教授で臨床心理士の上田幸彦さんを講師に招き、「ピアサポートの成功事例と失敗事例」を発表・検討するシリーズも今回で4回目。まず、日本ALS協会 沖縄県支部の新里美津江さんと田港華子さんが、交流会でのピアサポートの事例を紹介しました。症状の進行とともに今後生じてくる障がいをどこまで伝えるかという問題や、患者と介護者(家族)へのピアサポートが必要だが双方同席の場では言いたいことがなかなか言えないといった現状があること、そのために訪問ヘルパーなど第三者的な立場でサポートできる人材を育成する必要があることなどが話し合われました。

続いて、認定NPO法人 アンビシャスの照喜名通さんから「相談内容が個人への誹謗・中傷であっても共感し付き合うべきか」という問題が投げかけられました。上田さんから、著名な臨床心理学者、カール・ロジャースの「自己一致」という概念が紹介され、カウンセラーが自分自身の考えを信じていること(=自己一致)が大切で、うわべだけの受容や共感はしない方が良いこと、そして「あなたの考えは理解できないが力になりたい、解決策を一緒に考えていこう」という姿勢で臨むと良いといったアドバイスを受けました。

また、全国膠原病友の会の阿波連のり子さんが、前回の学習会で悪質な中傷電話を受けた事例を発表したことを支部に持ち帰り話し合ったところ、相談業務を一人に任せすぎていたことを見直し、今後は相談記録を取り運営委員で検討することになったこと、そのことによって会の団結力も高まったことが報告され、学習会の成果を全員で実感することができました。

第20回 北陸学習会 in 金沢(2013年7月6・7日)
災害対応トレーニング、東日本大震災体験者の講演など災害対策をテーマに拡大学習会を開催

石川県金沢市の近江町交流プラザ(近江町いちば館内)において、第20回北陸学習会が、宿泊を伴う拡大学習会として開かれました。 今回の中心テーマは「災害対応トレーニング」。まず、東北学習会のメンバーで社会福祉法人 仙台市障害者福祉協会の渡邉純一さんが、「あの日の記憶を伝えよう」と題して東日本大震災における取り組みの概要を講演しました。渡邉さんは、東日本大震災の被災地の実状や、福祉避難所の役割などについて報告し、「各地との連携や協力の重要性を改めて認識した」「東北学習会などでの地震を想定した取り組みには一定の効果があった」と述べました。

次に、体験発表として、全国パーキンソン病友の会 石川県支部の伊東正夫さんが、新潟県中越地震(2004年)直後、震源地に近い小千谷市へ救援物資を届けた際の体験談を発表しました。

被災したらどうなるかを考える
次に、グループに分かれて「災害対応トレーニング」を行いました。これは日本介護支援専門員協会が開発したプログラムを基にした取り組みで、日本ALS協会 富山県支部の野村明子さんが進行役となり、災害など想定外の出来事に対して「具体的に何が必要になるか」「どんなことが起こるか」「どんな心構えが必要か」などを考えました。

災害対応も視野にさらにネットワークを拡大
全体討論では、まとめとして「個人で非常用持ち出し袋の保管や点検を行う」「メーリングリスト等を活用して連絡を取り合えるようにしておく」といったことを確認しました。そして、VHO-net全体に対しては「ボランティア人材・情報バンクの設置」「定期的に災害対応トレーニングを実施」「災害時の各団体の活動と、その後の検証を記録しておく」などの提案がありました。参加者からは「個人の心構え、つながりのための準備、今後の社会のための活動が必要」「今回のようなワークショップ形式の学習会は有意義。団体でも開催したい」などの意見があり、また、普段から災害などを考えてお互いにつながっておくことが大切という意味の「平常互助」というキーワードも生まれました。
6日夜には、懇親会に加え、災害時を想定して近江町近くの史跡「長町武家屋敷跡」の避難経路の視察も実施。2日間をフルに活用した中身の濃い拡大学習会となりました。
また、今回は北陸の中心都市・金沢での開催で、石川、富山、福井各県から幅広い参加者が集まり、活発な話し合いが行われました。今後、災害対応の一環としても、北陸学習会やVHO-netの横のつながりをいっそう深めていくことを確認し合い、2日間にわたった拡大学習会を終えました。

災害対応も視野にさらにネットワークを拡大
■目 的
 ●災害に備え、急なトラブルに対応できるようにする
 ●平常時の生活に反映する
 ●ネットワーク活用を意識する
■方 法 
①グループを一つの家族と想定して、具体的な状況を設定する
 ●7月6日の午後、地震が起きる
 ●ある患者と家族の家、患者団体の事務局を兼ねている
 ●家族は、それぞれ仕事中、買い物、留守番と分かれて行動している
②「発災直後〜10時間」「1日〜3日目」「4日目〜 1ヶ月後」のフェイズ(段階)ごとに「今すぐ何をすべきか」「そのために何に困っているか」「使える(役立つ)ものはあるか」を個人で付箋に書き出す
③書き出した付箋を模造紙に貼り出し、整理して必要なことをまとめる
④グループ発表を行う
⑤全体討論として、個人、患者団体、ネットワークで平常時から心がけておくことを話し合う