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歴史や障害者権利条約を学び、
活動や思いを語り合う交流の集いが開かれる

歴史や障害者権利条約を学び、
活動や思いを語り合う交流の集いが開かれる

3月26日、東京のファイザー株式会社 オーバルホールで、ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会(VHO-net)の交流学習会が開催されました。これは、地域を越えての交流の機会を増やしていくことと、それぞれの疾病や障がいを越えたテーマの講演や議論を通して多くの気づきを得ていくことを目的として、今年初めて開催されたものです。交流学習会では、まずNPO法人 日本障害者協議会(JD)代表の藤井克徳さんが、T4計画(ナチスドイツによる障がいのある人への迫害)と、障害者権利条約をテーマとした講演を行いました。

藤井克徳さんの講演から
平和な社会で映える障害者権利条約 「ナチスドイツと障害者」が現代に問いかけるもの 権利条約の本質を考える

藤井さんは、第二次世界大戦下のドイツで障がい者が犠牲になった歴史を紹介しました。ナチスドイツは、ユダヤ人虐殺にみられる「民族浄化思想」とともに、強い「優生思想」をもち、1940年から1941年にかけて6ヶ所の施設で精神・身体障がい者などを殺害する「T4計画」を行いました。藤井さんはこの事実を知り、昨夏、NHKとの共同プロジェクトでドイツでの取材を実施し、その模様は、戦後70周年にちなむ番組として放映されました。藤井さんは経緯を紹介し、「多くの人がこうした歴史を学び、人権を学ぶことが、戦争を遠ざけることにつながるのでは」と語りました。

次に、障害者権利条約(以下、権利条約)の本質として「『障がい分野についての世界ルール』『日本の障がい者にとって北極星(だれもが一致できる目標)となり得る』『社会へのイエローカードとなる』という3つの素晴らしさがある」、「今後の課題として『権利条約に照らした障がい分野の総点検』『権利条約の政府報告書についての精緻な評価』『パラレルレポート(政府報告書に対するNGOからの対抗レポート)の作成』という当面の課題と、『批准した権利条約にふさわしい新たな政策づくり』『権利条約に立脚した民間団体・障がい関連団体の活動』という中・長期的な課題がある」と述べました。

最後に「無関心や無知が、差別や迫害を助長する。学び、行動することには大きな意義がある。ぜひ権利条約の大切さを学び、広く地域や社会に伝えていってほしい」とVHO-netへエールを送ってくれました。

学びと交流の有意義な集いとなる

グループでの討議、発表を聞き、藤井さんは総評として「合理的配慮も含めて、どんな場合でも相手の立場に近づこうという構えが重要。そして直接顔を合わせることが大切。会ったり集まったりすることで人は力がわいてくる。その意味で、VHO-netに期待している」と発言しました。 その後、代表世話人の増田一世さんがVHO-netの活動について語り、最後に、中央世話人の山根則子さんが「積極的に学び、行動することを大切にしていきたい」と結びました。学習会後には懇親会も開かれ、全国各地から集まった参加者たちが和やかに語り合う姿も見られました。初めて開催された交流学習会は、凝縮した時間の中で盛りだくさんな学びと交流の機会となったようです。

グループ・ディスカッションから

藤井さんの講演を受けて、グループに分かれて討議が行われ、グループ発表では次のような意見が紹介されました。

「T4計画」や弱者への迫害について

●偏見が、無知・無関心と結びついているところが参考になった
●学びは気づき。今日の講演が私たちの勉強の出発点となったのではないか
●学ぶこと、行動することの大切さを改めて確認した
●戦争は過去の話ではなく、現代にも影響している
●歴史は現代に続き、世界の動きは日本にも影響があるから、学ぶことは大切

権利条約や、患者や障がい者を取り巻く状況について

●権利条約を学び、行政や社会に伝えていくことが、私たちの役割
●不便ではあっても不幸ではないという言葉が心に残った
●障がい者への理解や行政の対応にも地域格差がある
●自分や、家族自身にも障がいや難病に対する差別意識がある
●まだ生活の質の向上が認められにくい
●福祉行政にかかわる委員会に参加するなど社会的な行動も必要
●私たちのことを私たち自身で決めるために、学び行動し、発信したい