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小児在宅医療基金 てぃんさぐの会

小児在宅医療基金 てぃんさぐの会

事務局長/沖縄県立那覇病院 小児科医師 宮城 雅也
副会長/照喜名 重寿

てぃんさぐの会は、長期にわたって医療的ケア(障がいケア)が必要な子どもたちの在宅生活や社会参加を支援する活動を行っています。会の名前は親の子に対する強い思いを歌った沖縄民謡『てぃんさぐぬ花』から。どんな難病であっても可能な限り子どもを家族の中で育てたい。そんな切実な親の願いを叶えようと、さまざまな分野からボランティアが集まりネットーワークを築いています。

活動の状況
発足の目的は人工呼吸器のこどもたちの在宅復帰

1993年の発足当時は「小児在宅人工呼吸療法医療基金 てぃんさぐの会」でした。その名の通り在宅療養で使う人工呼吸器を子どもたちに贈ろうと自然発生的に集まり活動がスタートしました。人工呼吸器は1台約200万円。管理にも多大な費用がかかる。とにかく寄付を集めようと奔走し、購入、提供してきました。現在は5台、酸素量を計測するパルスオキシメーターも30台保有し、どちらも無料でレンタルしています。また、会の名前も「人工呼吸療法がとれた在宅医療基金」となっています。

会員は現在約150名。患者の家族はもちろんのこと、医療機関、研究団体、保健所、訪問看護ステーション、ホームヘルパー、ケースワーカーなど幅広い分野の人々がボランティアで参加しています。家族といっしょになって活動することで、どんなサービスを欲しているかがわかり非常にスムーズにことが運びます。県下の病院とのネットワークも密で、どの病院にどんな重症度の子どもがいて、在宅は何名というデータなどの状況も把握しています。病院が在宅療養の細かなノウハウを持っていない場合はてぃんさぐの会がコーディネイトします。消防署の救急隊も協力してくれ緊急時に対応できるようになっています。

総勢130名が参加した、「がんばれ共和国 in お〜きな輪」

「ビーチパーティー」と「秋のピクニック」を年1回ずつ開催しています。なかなか外に出られない子どもたちを海や山に連れて行って遊んでもらう。医療スタッフをはじめ、多くのボランティアがサポートするので親も安心。親同士も話ができ悩みをうちあけることもできます。昨年は、『難病のこども支援全国ネットワーク』との共催で沖縄で初の2泊3日のサマーキャンプを開催しました。名付けて「がんばれ共和国inお〜きな輪」。“お〜きな輪”(沖縄)はまさに私たちのテーマです。県外からの7家族を含めた23家族とボランティア、スタッフ総勢130名が参加し、大成功をおさめました。

準備に3年かかりました。チャリティコンサートを開催し資金をつくりました。こちらも切符を売らなくちゃいけないから大変(笑)。人工呼吸器を付けている重度の患児は、費用の点からいうと、飛行機では3席分いるのです。プラス家族ですから。でも、なんとか支援していこうと。みんな仕事をもつボランティアばかり。その仕事に支障が出るほど準備は大変でした。作業をどれだけ分担していくかが今後の課題です。

「医療的ケア」から「障がいケア」へみんなでケアしていこう

難病の子どもたちのケアには福祉が手を出せないことが多いんです。それをなんとかしたい。ホームヘルパーへの指導を始めています。厚生労働省が出した、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者にのみホームヘルパーが吸引を行ってもいいという方針が突破口でした。患者それぞれのケースを検討し、主治医がてぃんさぐの会に入っていない場合は指導医を置いてやろうと。保育園も受け入れに積極的です。けれども親がつきっきりでなくてはだめ。だからまず看護師やホームヘルパーを置き、最終的には保母がケアをできるようにしようと思っています。看護師が技術を指導し、主治医、親、園長全員が見て大丈夫となれば修了書を出す。もちろんなにかあった場合に備えてすべて契約書類を作る。まずは導尿ケアから始めています。

医療的ケアと呼ぶと医療従事者しかできない。てぃんさぐの会では障がいケアと名前を変えました。そうするとみんな入りやすいのです。親ができるケアが、なぜ他人だとできないのか。それを突破していかないと子どもたちのQOLは上がっていかないんです。学生ボランティアへの在宅医療の基礎講座もスタートします。そこにホームヘルパーも参加したいと言ってきてくれました。講師ボランティアは会にたくさんいます。医療、福祉、教育が合体したネットワークができつつあります。

全国大会などで発表するとよくこのネットワークのことを聞かれます。どうしているのかと。質問の意味がわからないんですよ(笑)。「普通にやってますよ」としか言えない。自然とみんなが集まってくる。沖縄には“ゆいまある(相互扶助)”の精神、“会えば兄弟”という風土が今も強く残っているからかもしれません。

組織の概要

■創立:1993年7月設立
■役員:20名
■会員数:約150名
■事務局:沖縄県那覇市