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社団法人 認知症の人と家族の会
(旧 呆け老人をかかえる家族の会)

社団法人 認知症の人と家族の会
(旧 呆け老人をかかえる家族の会)

代表理事 高見国生

1980年、介護家族を中心に「呆け老人をかかえる家族の会」が発足しました。現在では41都道府県に支部を持ち、会員は約8600人、全国的な唯一の民間団体です。26年間に及ぶ会の活動は、発足当時、まったく整備されていなかった国や自治体の認知症対策を大きく前進させる原動力となってきました。2006年6月には、現在の「認知症の人と家族の会」に名称を変更。その歩みと活動状況を紹介します。

活動の状況
柱は家族同士の励ましあいと制度やサービスの推進活動

私自身8年間、母親を在宅で介護しており、その7年目に京都で同じ境遇の家族が20名ほど集まったのがきっかけで、「家族の会」が発足しました。

痴呆についての情報もほとんどない時代、同じ苦労をしている方、もっと大変な方がいることに気づいたのは衝撃的なことでした。「家族同士が情報交換し、話し合い、気持ちを高めて頑張ろう」そんな思いから家族の会をつくることになりました。結成会のことが新聞に小さく紹介されると、全国から90人もの参加者が集まりました。みんな、すがる場所を探していたのです。結成した年のうちにたちまち7つの支部ができ、年々、支部も会員数も増えていきました。

活動の大きな柱は2つです。一つは、家族同士の励まし合い・助け合い。家族のだれかが呆けたときの驚きや戸惑いは、法整備が進みサービスが増えた今もまったく変わりません。支部では毎月1回、家族の集いを開き、電話相談や会報を発行しています。もう一つは、社会に訴え、制度やサービスを推進する活動です。これまで厚生労働省に22回の要望書を提出しています。82年、初めての要望書の内容は、短期保護、通所介護、訪問介護事業でした。86年に痴呆性老人対策推進本部ができましたが、何をしていいかわからない国に対し、どうすべきかを示したのが私たちの要望書で、予算要求の資料として添付されました。それらは今で言う、ショートステイ、デイサービス、ヘルパー制度として実現しています。

92年には『国際アルツハイマー病協会』に加盟、94年には社団法人となり、支部の結成も一気に進みました。啓発活動としては毎年、世界アルツハイマーデー(9/21)の前の日曜日に全国で街頭活動を展開しています。認知症を正しく理解するためのリーフレットを配布するのですが、それですぐに会員数が増えるわけではありません。

ただ、会の存在を知り、困ったら相談してみようと思い留めてもらえたらと思っています。ビラ配りをすると認知症に関心のない人の多さにも気づきます。これも会員にとっては大切な情報なのです。

呆けをとりまく社会の変化 主人公は二人の時代へ

この26年間の間に呆けをとりまく社会状況もずいぶんと変化しました。かつて介護者は9割が女性で、その半分はお嫁さんでした。今は子ども、配偶者、お嫁さんがほぼ同じ割合です。男性の介護者も2〜2.5割となり、65歳以上の介護者、いわゆる老老介護が5割を占めています。介護疲れからの殺人や心中事件も起きています。また、アルツハイマー病の早期発見が進んだこともあり、若年期認知症(65歳未満)も増えています。昨今、厚生労働省は、やっと「痴呆」は侮蔑的な意味合いがあると、用語を「認知症」に変更しました。

私たちが、大切にしてきた会の名称を変更したのはこれらの変化からです。呆けは高齢で症状の重い人だけではなくなった。若年期認知症、症状の軽い人も増えてきた。呆けという言葉では全体をくくれなくなってきたのです。

当会には“呆けても心は生きている”という素晴らしい言葉があります。呆けた人でも優しさを感じられると。それに基づいた会員アンケートに、600件もの回答が寄せられました。呆けたご主人が奥さんを迎えに行き交番で保護された。手には傘を2本持っていた…など、感動的なエピソードがいっぱいです。

04年、京都で開催した国際アルツハイマー病協会・第20回国際会議では、発症してから10年になる57歳の男性が、会場で自分の思いを語りました。もう一度、働きたい、そして妻にお返しをしたいと。まさに心は生きているのです。本人の気持ちに添った介護が必要だということは、今の世界的な潮流です。だからこそ「認知症の人と家族の会」。主人公が2人になったのです。

最近は保健所や病院主催の家族会も増えてきました。でも単独の会ではやはり広がりがない。私たちは全国規模で、会員が心を一つにして、“呆けても安心して暮らせる社会”を目指して活動を続けていきたいと思っています。

■会報『月刊‥ぽ〜れぽ〜れ』発行
■認知症電話相談
■認知症に関した調査研究
■啓発活動(世界アルツハイマーデー、街頭活動、講演会等)
■厚生労働省や自治体などへの要望
■認知症の人と家族への援助をすすめる全国研究集会

組織の概要

■設立/1980年1月
■会員数/約8600名
■本部/京都市上京区堀川通丸太町下る京都社会福祉会館2F