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このサイトは、ファイザー株式会社が社会貢献活動として発行しております『まねきねこ』の情報誌のウェブ版であり、個別の疾患の相談は受け付けておりません。
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NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター

NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター

代表 中田 智恵海 氏

共通の悩みを抱える人たちが出会い、ともに支え合っていくことを意味する「セルフヘルプ」。NPO法人ひょうごセルフヘルプ支援センターは、兵庫県内のセルフヘルプグループへの情報提供、グループの立ち上げや運営支援を行う目的で、2000年に設立されました。地域社会のなかで孤立しがちな人と人、人とグループ、グループとグループをつなぎ、だれもが自分らしく主体的に生きていける社会を目指して、活動しています。

活動の状況
さまざまな生活困難をもつ多様な領域でのセルフヘルプグループを支援

病気や障がいなど、同じような生活困難や生きづらさを感じている仲間どうしで、思いをわかち合い、支え合って生きる勇気や希望を得る。あるいは、社会制度の改善を訴えて行政に働きかけたり、いわれのない偏見や差別を取り除くための活動を行ったりする。そのような集まりが、セルフヘルプグループです。

2000年の発足当時、ひょうごセルフヘルプ支援センター(以下、支援センター)に登録していたのは76団体でしたが、現在は大きく増えて258を数えます。それぞれのグループが共有するテーマは、難病、身体・知的・精神障がい、アルコールや薬物依存、摂食障がい、子どもや伴侶を亡くした人、寝たきりの高齢者や認知症患者の家族、不登校や引きこもりの状況にある人たちなど、多岐にわたります。グループの規模も、全国的な組織をもつ大きな団体から稀少難病の数名の単位まであり、その領域・形態・活動内容も実に多様です。

法改正を機に地域福祉を推進する組織としてセルフヘルプグループに注目

私がセルフヘルプの活動にかかわったきっかけは、1977年、口唇口蓋裂の子をもつ親の会(現・口唇口蓋形成不全ネットワーク)への入会でした。そこで多くのことを学び、大学院生としてセルフヘルプについての論文も書きました。1984年に、大阪府立大学教授で社会福祉を専門とされる定藤丈弘先生が、大阪セルフヘルプ支援センターの準備委員会を立ち上げる際に声をかけてくださいました。1993年に電話相談を開始すると、大阪府内はもちろん、兵庫県からもたくさんの相談が寄せられました。兵庫県は北は日本海、南は瀬戸内海に接する非常に面積の広い県で、特に北部地域は交通の便が悪く、大阪市内での勉強会を紹介しても来られない人が多いのが実状でした。これでは孤立してしまう、どうにかしなければと思っていた時、定藤先生から「中田さん、次は兵庫県だよ」と言われたのです。

2000年に社会福祉事業法が改正されると、「地域福祉」という文言が初めて明記されました。地域に根づいた福祉を推進する組織体として、市民活動団体や難病の患者団体などのセルフヘルプグループを活性化する追い風が吹いてきました。そのような背景から、兵庫県の社会福祉協議会の支援を受けて、ひょうごセルフヘルプ支援センターが設立されました。

「自分で選び、生きていく道を主体的に見つけていく」 その手助けが活動の基本

支援センターの活動のベースは、電話による情報提供です。悩みや困っていることをお聞きして、セルフヘルプグループを紹介します。該当するグループがない場合は、支援センターに登録してもらっておき、同じような相談があればつなぎます。一個人のニーズからグループ設立に発展する場合も多いですね。もうひとつは、リーダーどうしで情報交換し合ったり、リーダーとしての悩みを分かち合ったりできる場を設けることです。

年1回、セルフヘルプグループセミナーを開催しています。毎回、数団体が活動内容を発表し、グループ間の交流を図ります。2010年は創立10周年事業として「STOP! 無縁社会 誰もが共に生きるまちづくりフォーラム」を開催。兵庫県民会館に約300名が集いました。

2011年からは「派遣トレーナープロジェクト」がスタートしました。セルフヘルプグループの基礎は“コミュニケーション”であることから、組織運営のためのコミュニケーション・スキルを高める養成研修を6回にわたって実施。修了者を講師に認定し、要請があれば各グループに派遣していくものです。その他の運営支援では、助成金の情報提供もします。

支援センターでは、「つなぐ」ことを基本に、自己決定ができるように情報を提供します。当事者がグループに“つながること”は、あくまでも、ひとつの解決法に過ぎないからです。そこからその人らしく生きていく方法を主体的に見つけていかないと、道は開かれないと考えています。

VHO-netの世話人として地域学習会の立ち上げにも尽力

VHO-netの存在は本当にありがたいです。団体のリーダーは自分ひとりで仕事を背負いこみ、しんどいと言いながらもやってしまう。ワークショップや地域学習会でそういった立場の人たちが集い交流し、発言する機会を得て、評価されたりもすることは、とても意義があります。医療関係者など、参加される人材が多様で豊富なのも魅力ですね。

兵庫に次いで京都も発足つなげていくことでパワーが増していく

2007年に、きょうとセルフヘルプ支援センターを立ち上げました。現在、約80団体が登録しています。京都市内の「ひと・まち交流館 京都」に事務局を設けていましたが、3年間の期限が切れ、現在はメールボックスだけを置かせてもらい、兵庫と共有のホームページで情報提供中。それ以外は携帯電話で連絡を取り合っています。京都はそれぞれのグループの活動が、とても活発で熱い。兵庫と京都のセルフヘルプグループをつなげていけば、もっとパワーが出ると思っています。VHO-netのように、ワークショップに全国の患者団体が集い、それぞれの地域にも学習会があることは、理想的ですね。当方も全国のセルフヘルプ支援センターの代表機関があって各地域とつながることができればよいのですが、実現はいつになることやら(笑)。私たちがカバーできる範囲で、「焦らず・やめず・地域に根づいて」をモットーに、活動を続けていきたいと考えています。

組織の概要

NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター
■設 立:2000年
■会員数:正会員(団体)64団体/賛助会員(個人)107名

主な活動

電話・ホームページによる情報提供/会員の情報交換/セルフヘルプグループセミナーの開催(年1回)/リーダー研修会の開催/機関誌『やすみいし』の発行(年2〜4回)/本の出版主な活動