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このサイトは、ファイザー株式会社が社会貢献活動として発行しております『まねきねこ』の情報誌のウェブ版であり、個別の疾患の相談は受け付けておりません。
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会の運営に役立つハウツー集
会の活動や個人体験を出版するには

HOW TO/第2回
会の運営に役立つハウツー集 会の活動や個人体験を出版するには

広く多くの人に病気のことを知ってもらいたい」という思いが、出版&販売を後押しします。

インフルエンザ・脳症の会/病児遺族わかちあいの会
「小さないのち」 代表 坂下裕子

まず「書くこと」、そして「売る努力」。1歳の娘との死別体験を綴った『小さないのちとの約束』、『天国のお友だち』、『いのちって何だろう(共著)』の3冊の本をこれまで出版しました。子どもを亡くした直後、小児救急の現状は社会問題という1通の投書を新聞社の社会部宛に送りました。次々と取材依頼があり記事や番組になりましたが、それらは記者やテレビ局の仕事、作品であり、どこかが違う。自分が書かなければいけないという思いが募り、出版を決心したのです。

出版が決まるまで

本を出版するスタイルは3つあります。
■自費出版…著者が出版費用を出し、自分で販売する
■企画出版…出版社が費用を出し、販売(書店に流通)もしてくれる
■共同出版…著者と出版社が、費用を分担し、両者で販売する
私の場合、3冊とも企画出版です。企画出版の本は出版社の商品。出版社は著者が書きたい本ではなく売れる本を作るのです。私の場合、原稿を持って出版社を回りましたが何社も断られました。患者・家族会の場合、会の規模もポイントです。作品の質に関わらず小さな会だと販売数の点で難しい。私は最終的に新聞記者のコネクションで出版社が決まりました。

執筆について

原稿には編集者から60か所の修正を指示されました。書き込みが足りないのは辛い過去にたくさん蓋をしているからだと気づきました。編集者はその蓋を容赦なく開けていく。死別体験や闘病記ではそれは厳しい作業です。私は編集者の理念に共感できたので必死で書き直し、結果的にそれがセルフケアにつながりました。

出版後の戦い

できあがるとまず新聞社に献本します。これまでの記者とのつながりから多くの新聞が書評を掲載してくれました。書評は無料の広告です。期待しましたが、全然売れない。出版社に申し訳なく自分でも売ることに。よほどの作家以外、著者が売るのは常識です。それでも1冊目は初版4000部が売れ、増刷。それがなくなると廃刊と言われ、500冊を買い取ることを条件に、さらに700冊増刷してもらいました。古い本は3年もすれば廃刊です。新しい本は日々出版されているのです。

本の売り方

学会の書籍売場は指定の本屋があるので、そこに頼み、取次(本の卸)に注文して置いてもらう。常に持ち歩き講演時等に自分で売る。出版はゴールではなく、スタートなのです。

よほどセンセーショナルな企画でないと出版は難しい時代です。私は価格を200円下げるために、執筆料と印税を放棄しました。疾患について広く社会に認知してもらいたいから書く。これが執筆、販売での励みになると思います。