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活動レポート第14回(2008)

活動レポート第14回(2008)

2007年11月に第8番目の地域学習会として東海学習会が発足しました。ますます活動が広がり、すでに立ち上がっている地域学習会では2007年10月に行われた第7回ヘルスケア関連団体のワークショップの報告をはじめ患者啓発劇を試みたり、専門家や講師を招いて講演会を行うなど、活発な活動が行われています。今回は2007年11月から2008年2月までに行われた各地の地域学習会の様子をご紹介いたします。

第3回 沖縄学習会 in 沖縄(11月5日)
ヘルスケア関連団体の目的、役割を明確にした上での情報発信を

第3回沖縄学習会は、8団体15名が参加し「情報活用術 収集と提供の方法を考える」をテーマに、2グループでのワークショップ形式で行われました。まずワークショップの主旨や進め方を確認。発言は1回2分以内、発言を遮らないなどのグランドルールを決めてスタートしました。情報の発信源として「掲示板」「メール」「メーリングリスト」「会報誌」「講演会」「相談時」「医療機関との関係がうまくいっていないときの相談事例」「患者の体験談」の8項目が挙げられ、各ヘルスケア関連団体の失敗事例と対策、成功例を出し合い意見を交換しました。まとめでは次のような事柄が挙げられました。”会員ひとり一人の思いは違う。だからこそ会として活動の目的と役割、入会することでのメリット、情報を何に使うかなどのベースの部分を明確にしておく必要性がある“、”講演会の内容はテープから起こした原稿をそのまま提供するのではなく、講師に必ず監修してもらい精度の高い情報に“、”病院や医師の紹介は個人的な意見ではなく、会が複数の病院を示して選んでもらう“、”会報誌では、情報が不十分な場合は良質な記事の転載許可を得て転載させてもらっている“など。また、医療制度をわかりやすく正確に伝えることの難しさや、そもそも沖縄の患者が情報をほしがっているのかという問題も提起されました。

なんくるないさ(なんとかなるさ)の県民性を踏まえた上で、どう情報を発信していくか。答えはでませんでしたが、課題として取り組んでいくことになりました。

参加団体
NPO法人アンビシャス/ 全国膠原病友の会沖縄支部/ もやもや病の患者と家族の会(もやの会)沖縄ブロック/ 全国パーキンソン病友の会 沖縄県支部/ チーム沖縄(障害者自立支援を考える会)/ てぃんさぐの会/沖縄IBD/ J-FOP〜光(WEB参加)

第3回 北陸学習会 in 富山(11月18日)
ワークショップの報告、団体紹介、討論会と盛りだくさんな内容で開催

2007年11月18日、富山のボルファートとやまで第3回北陸学習会が行われました。まず、ファイザー株式会社の奥澤氏から、2007年10月に行われた第7回ヘルスケア関連団体ワークショップの報告がありました。今秋、北陸地区では団体の設立や研究会などが相次ぎ、北陸学習会のメンバーがワークショップに参加できなかったことから、参加者一同「情報の収集と提供」についての討論の模様を詳しく聞きました。

次に、参加者が一人ずつ所属団体の成り立ちや活動状況などを順に紹介していきました。「世話役が患者なので、体調が整わないと大変」(リウマチ友の会富山支部)、「若い患者が多く、ヘルスケア関連団体への加入は遠慮したいという人が多い」(富山IBD)など、それぞれの団体が抱える課題が語られました。「小児ガンの子供を守る会」と「日本ALS協会富山県支部」はともに10月に設立された新しい団体として、抱負や活動方針などを述べました。

最後に2グループに分かれて、「患者力を有効に活かすには」をテーマに討論会が行われました。「リウマチ科の名称を残すために、ヘルスケア関連団体・財団・学会等が力を合わせて署名運動した結果、変更が撤回された」「オレンジリング(認知症サポーター)の普及に努め、一般の人や警察、金融機関等への啓発に力を入れている」「内部障がいの世間の不理解を解消したい」「医師も仕事に追われて余裕がない。患者と医師の間を取り持つ力になれないか」など、それぞれの団体の経験をふまえた「患者力の活かし方」についての意見や提案がありました。 運営委員は「当事者の声を力に変えていくのがヘルスケア関連団体。患者自身の加入が少ないのが現状なので、支援者や医療、行政に働きかけ、患者自身が声を出しやすい環境を作っていくことが必要ではないか」との感想を述べています。

参加団体
日本ALS協会富山県支部/ 小児ガンの子供を守る会/ (社)日本リウマチ友の会富山支部/ 富山IBD
多発性硬化症の会/ 補食の会/ 認知症の人と家族の会/ 全国パーキンソン友の会富山県支部/ 難病ネットワークとやま

第8回 関東学習会 in 東京(11月18日)
ワークショップとの連動を視野に、情報提供に関する多様な取り組みをスタート

2007年11月18日、東京ファイザー本社にて、第8回関東学習会が開催されました。

まず2007年10月に開催された第7回ヘルスケア関連団体ワークショップに参加したメンバーが、自ら加わったグループ発表について報告しました。次に、ワークショップでの「情報」に関する議論を受けて、関東学習会として今後どのように活動を進めていくかが話し合われました。

参加者からは「専門家を招いての講習会や講演を開いてはどうか」「ピア・カウンセリングや相談を受ける側のスキルアップを図りたい」などの意見がありました。また、「模擬患者について学びたい」という意見を受け、医学教育の現場で模擬患者を引き受けている「ポリオの会」が現状について語りました。

「各団体がもっているノウハウや情報を共有したい」「団体を運営していくうえでの悩みや不安を共有したい」という意見に対して、スーパービジョン*(super vision)を参考に「ピア・スーパービジョン」を行ってはどうかという提案があり、今後は学習会開催時に、相談員同士のピア・カウンセリングの時間を設けることになりました。そして、模擬患者や相談事業も情報提供の一つの形ととらえ、「医療者、地域、社会への情報提供」を大きなテーマとして、ワークショップと連動しながら具体的には専門家による講演や勉強会などを開催することになりました。

関東学習会は、首都圏という地域性、また全国的な団体の代表や医療従事者・福祉関係者などさまざまな立場のメンバーが参加者していることから、地域としての特色が希薄な面もあったようです。しかし、学習会での活動を積み重ねるなかで、徐々に連携も深まり、関東学習会ならではの取り組みが活発に行われるようになってきました。今後の展開が注目されます。

参加団体
あすなろ会/ポリオの会/ NPO法人線維筋痛症友の会/ (社)全国脊髄損傷者連合会/ 中枢性尿崩症の会/ NPO法人日本IDDMネットワーク/ (社)日本オストミー協会/ 再生つばさの会/ Arthritis Foundation

第1回 東海学習会 in 名古屋(12月8日)
難病連との協力関係のもとに、全国8地区目の東海学習会が発足

2007年12月8日、第1回東海学習会が開催されました。発足に当たり準備委員3名を設置。企画内容や参加者の取次などについて、愛知・岐阜・静岡・三重各県の難病連加盟団体に案内するなど、難病連とヘルスケア関連団体が別組織ながら協力関係をもって進められることになりました。4県約70団体に呼びかけ、17団体26名が参加。

第1回目のテーマは「患者力・ヘルスケア関連団体のありかたを考える」とし、岐阜県難病連事務局長の安藤晴美氏から問題提起がありました。内容は岐阜難病連の17年間に及ぶ実践に基づいたもの。疾病団体相互の理解を図る、疾病団体の相談窓口として活動支援をする、継続した事業を行い、その質を高め提言力をつける努力などが語られました。それを受けて午後からは、静岡難病連理事長の野原正平氏を座長にディスカッションがスタート。ヘルスケア関連団体の組織、財政の強化では、目的・理念・使命の文言化やQOLの向上など具体的なサービスのPRについて詔され、資金作りでは署名活動と募金箱をセットにするアイデアなどが紹介されました。また、事務局に健常者を登用していくなどの実践例や患者会が持つさまざまな悩みや意見も交わされました。

まとめとして「お互いに励まし合い生きる力を得ていくことがヘルスケア関連団体の真髄。今回、疾病を越えて集まったことはとても意味があり、新しい力の予兆が確認できた。これからも会を重ねて確かめあい、深めあっていこう」と結びました。

活動レポート第14回(2008)

第11回 関西学習会 in 大阪(1月26日)
会議進行のコツやスムーズな会運営の手法を講師を招いて研修

第11回関西学習会では、会の運営上の課題解決法を探るべく、ファイザー社友会(ファイザーOB)の梶田修氏を講師に招き研修を行いました。テーマは「メンバーの意見が異なるとき、意見を集約して一つの方向性を出す方法」。誰もが直面しているケースではないでしょうか。まず、はじめに研修では、「どうして違った意見になるのか」という背景から「他者と関わる意思決定において守るべき5原則」が紹介されました。また、さまざまな意見が飛び交う場合での「目標の重みづけ(優先順位)」では、気持ちの強さを10〜1までの数値に置き換えることや、時間に制約があるので最後は多数決にすることを最初に明言しておくこと、議論の末の多数決は理解が得られやすいなど、具体的な手法が紹介されました。これらの知識をふまえて「予算1人10万円以内で慰安旅行の行き先を決める」を議題にグループに分かれて模擬演習を実施。行き先が決定するまでどこで意見が分かれたか、全員が納得したかなどの過程をそれぞれ発表しました。また、そのうえで参加者は会のリーダーという立場であるため、会議前の情報収集や会議はギブ&テイクであり、自分だけが情報を得たり、意見を発表する場ではないという雰囲気づくりも大切だと解説。これらのことを毎回、意識して行うことでいい会議へとステップアップしていけると結びました。9団体(内・初参加2団体)16名が参加。

■他者と関わる意思決定において守るべき「5原則」
1.自分の意思決定をまず固め、信念をもつ
2.自分の意思決定過程と結論をわかりやすく人に伝える
3.他者の意思決定過程を理解し、相手の立場に立って妥当性を考える
4.意見相違がどの意思決定過程で生じたのか分析を行う
5.相違する意見を前向きに調整し、新しい合意を生み出す
引用‥意思決定を間違わない人の習慣術 (夢新書) 中島 一

第9回 関東学習会 in 東京(2月3日)
模擬患者と医学教育との関わりについて専門家による講演を開催

2008年2月3日、東京において、第9回関東学習会が行われました。

まず、高千穂大学人間科学部児童教育専攻教授 長谷川万希子氏が「模擬患者について」をテーマに講演を行いました。長谷川氏は、医師や医学生、医療関係者を対象としたCST(communication skill trainingまたはconsumer satisfaction training)に携わる経験から、CSTの研修の目的や模擬患者がコミュニケーション教育に必要な理由や模擬患者の養成プロセスなどについて述べました。模擬患者(SP)には、simulatedpatientとstandardized patientという意味があり、シナリオを覚え演技をするだけではなく、いつ誰が演じても同じトレーニング効果が得られるように標準化された患者を演じることが求められるそうです。さらに、模擬患者にはフィードバック能力や医療への理解と中立的態度なども必要で、受講生をいたずらに傷つけるようなフィードバックではなく、さまざまな配慮を行いながら有意義なコメントを与えられることが重要だということでした。講演を聴いて参加者からは漠然としていた模擬患者の実際がわかり、はっきりとしたイメージがもてたとの感想が述べられました。

次に、プロジェクトチームが進めてきた「患者が作る医学の教科書」について進捗状況の報告が行われ、今後の進め方が検討されました。その結果、中枢性尿崩症を取り上げた原稿のサンプルが出来上がり、他の疾患についての原稿作成が必要となってきたので、プロジェクトチームだけではなく関東学習会全体で取り組んでいこうということになりました。また、団体によっては原稿作成の負担が大きいとの意見も出され、学習会で各団体の代表者が自らの疾病や団体の活動状況、課題、悩みなどを語り、その内容をまとめていくことになりました。昨年の「受診ノート」に続いて「患者が作る医学の教科書」という関東学習会の大きな取り組みが具体化していきそうです。学習会終了後、相互の親睦を深めるために楽しく新年会が行われました。

第7回 九州学習会 in 熊本(2月3日)
ユニーク! 日頃の不満や反省を盛り込んだオリジナルの「患者学啓発劇」の試み

第7回九州学習会は、ヘルスケア関連団体だけでなく医学部の大学院生や医師など、19団体32名の参加で開催。午前中は昨年10月に行われた「第7回ヘルスケア関連団体ワークショップ」への参加者が、7つの分科会の発表内容を報告。「ペアレンツ・ヘルピング・ペアレンツ(親が親を助けるアメリカの事例)が参考になった」「情報活用としての”ノウハウバンク“の発想が面白い」などの感想が出ました。午後からは九州学習会の今後の取り組みの一つとして、運営委員が「患者学啓発劇」を提案。あらかじめ用意しておいたシナリオを医者、患者、看護師役になって披露。「今日もまた2時間待って2分よ!2分!」「調子がよくなったことはついつい先生に話し忘れることの多かもんなあ」「わかったふりはしないで。優等生の患者さんにならなくていいんですよ」などと、日頃の不満や反省点などを盛り込んだ内容で、方言あり笑いありでとても親しみやすい寸劇に仕上がっていました。その後、6つのグループに分かれてシナリオをつくり、作品(5分程度)を披露。「ヘルスケア関連団体の立ち上げを医師に相談」「マスコミに出ることに反対する親戚の説得」「ヘルスケア関連団体の交流会で自分の意見を押し付けるケース」「医師にセカンドオピニオンを受けることを伝える」など、わずか30分でさまざまなシーンやあらすじの寸劇ができあがったのには驚きました。しかも役者揃い!今後、スキルアップして講習会やシンポジウムなどで”息抜き“として披露することを検討していくとのことです。

第4回 沖縄学習会 in 沖縄(2月4日)
誰に、何のために、どんなメッセージを?
有効な広報ツールについて学習

第4回沖縄学習会のテーマは「伝えたい人は誰?〜広報ツールを見直そう〜」。那覇商店街の街づくりに関わるNPO法人「まちなか研究所わくわく」の佐々倉玲於さんを講師に招き、広報ツールの基本、ノウハウを学びました。自己紹介は早速、名前・団体・キャッチコピーなど本日の学習会に期待することを1枚の紙にまとめた広報ツールを作成して行いました。その後、「誰に」「どういう変化を期待して」「何を伝えるか」の項目に分け意見を集めると、ホワイトボードにはそれぞれたくさんの要素が書きだされました。たとえば、「非会員の当事者に」、「仲間の存在を」、「活動内容で伝える」。「一般人に」、「偏見をなくしてもらうために」、「病気についての正しい知識を伝える」など、3つの項目を上手く組み合わせ、それを広報する側が共有する。そして材料があるか、なければ整えていき、項目を整理することでやるべき手順がわかりやすくなります。

学習の後、各団体が15分間でA4サイズのパンフレットを作成し、「表紙が大事」「会の主旨を明確に書き信頼性を」「データを出し、もし自分の子どもがかかったらと思わせる」など、それぞれの力点を発表。個々の団体の中だけで話し合うよりもラフスケッチの段階で他団体やターゲット、一般人などに見せて意見をもらう、イベントや他団体の広報ツールを集め参考にするなど有意義な意見交換がなされました。

第4回 北陸学習会 in 富山(2月10日)
ヘルスケア関連団体リーダーのための研修の場と位置づけ、積極的な学習会を展開

2008年2月10日、サンフォルテ富山で第4回北陸学習会が行われました。

まず、医療福祉チャンネル774で放映された「患者の声を医療に生かす」のビデオを鑑賞し、ネットワーキングの会や他の地域学習会の活動の様子を学びました。次に3グループに分かれて「患者力と医療」をテーマに、自分たちに何ができるのかというグループ討議を行いました。

グループ発表では、「富山には、神経難病などの専門医がいないという地域的な問題がある。患者から医師に働きかけ、情報提供することも必要ではないか」「医師に遠慮なく何でも言えるのが理想だが、なかなか難しい。個人では限界があるので、ヘルスケア関連団体などで患者力を高め、医師との関係を深める方向を模索したい」「医療、福祉がうまく連携するように、患者が医師やケアマネージャーに働きかけることも必要ではないか」などの意見が出されました。北陸学習会に初めて参加したソーシャルワーカーからは「グループ討議に参加して、患者さんと支え合い成長し合っていくのが本当の関係だと改めて感じた。またこういう機会があれば参加したい」との感想が述べられました。

北陸学習会は、地域学習会を「患者団体のリーダーのための研修の場」と明確に位置づけていることが特徴です。グループ討議の進行役や記録、発表の係も「勉強だから」と運営委員が声をかけて、積極的な参加を促します。また、途中で少し長めの休憩時間を設け、お茶を飲みながら参加者同士が語り合い、親睦を深め、情報交換できるようにも工夫しています。

北陸地方は縦に長く広がる地理的な条件から、新潟や福井から富山での学習会に日帰りで参加することが難しく、現在は富山在住者が中心となっています。そこで次回は新潟や福井のヘルスケア関連団体にも声をかけ、1泊2日の日程で学習会を行い、北陸全体にネットワークを広めていきたいとのことです。北陸学習会の活動の広がりが期待されます。