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就労継続支援B型事業所『NPO法人 ともしび』の活動 障がい者の社会参加や一般就労を目指す

就労継続支援B型事業所『NPO法人 ともしび』の活動
障がい者の社会参加や一般就労を目指す

平成18年に施行された障害者自立支援法。その支援法の1つに、就労継続支援B型事業所の設立運営があります。今回は佐賀市にある就労継続支援B型事業所「ともしび」のお話を理事長の江頭邦子さんにうかがいました。

理事長 江頭 邦子 さん
NPO法人ともしび
佐賀市鍋島町森田2075-1
TEL.&FAX. 0952-32-1130

就労継続支援B型事業所とは

就労継続支援B型事業所は各都道府県の認定を受けた施設で、障がいを持った人たちが共同作業や交流を通して、社会参加、一般就労を目指す訓練の場です。入所希望者は各市町村の障害福祉課などに障害者手帳と入所申請書を提出します。そして、入所の認定を受けると事業所での訓練に参加することができます(A型・B型事業所の表参照)。

就労継続支援B型事業所「ともしび」の活動内容

佐賀市にある就労継続支援B型事業所『ともしび』では現在10名前後の入所者がおり、知的障がい・身体障がい・精神障がい・難病など、どのような障がいにも入所対応をしています。「佐賀市内にある同様の施設では、難病患者さんは対象外という所が多いのですが、私自身が膠原病患者なので、最初から難病患者さんを受け入れようと決めていました。ここは一般就労に向けての1つのステップですが、入所期間も決めていないので自分のペースで利用してもらえばと思います」

事業所では、箱の組み立て、製品の検品・袋詰め、紙袋のひも通しといった作業を受注しています。その中でも主要な生産品はアメリカンフラワーです。ワイヤーと樹脂液でつくるガラス細工のような美しいオブジェで、講師の資格を持つ江頭さんがデザイン・制作を行い、簡単な作業を入所者が行います。そして、これらの売り上げを工賃に補填しています。しかし現在はまだ、入所者の人数に対して仕事量が不足しており受注依頼の増加を目指して、企業への営業を江頭さんが行っています。

小規模作業所からB型事業所に成長、認定を受けるまでの5年間は葛藤の連続

江頭さんが障がい者の就労支援に取り組むようになったきっかけは、全国膠原病友の会の全国大会に参加した際、鹿児島や大分の難病連が事業所を運営していると知ったことからでした。

「今から5年前です。当時は自宅前にある家の空き地を利用し、小規模作業所『ともしび』をつくりました。しかし、自分も病気を持ちながらの運営でしたので、”どうせ続くはずはないだろう“と家族は猛反対でした。『ともしび』の立ち上げからB型事業所の認定を受けるまでの5年間は葛藤の連続で、入所者の人数や支援員の確保、仕事をくれる企業の開拓、最低賃金の保障など、多くの認定規準をクリアするのが難しく、何度も”やめてしまおうか“と思いました。でも困ってる人が身近におり、作業所は心のよりどころでもあるので”やめるわけにはいかない“と頑張りました。そうやって続けてきた結果、平成20年にB型事業所として開所することができました。今、小規模作業所を運営している団体の方々は、ぜひB型事業所の認定に挑戦してほしいですね。報告書の作成など仕事量も増えますが、運営面では本当に楽になります」

B型事業所の認定を受けると県から助成金がもらえます。江頭さんはこの助成金を建物のバリアフリー化、送迎費用や5名いる職員の人件費など、運営資金に当てています。

県やハローワークとの協働で職探しや就職後のフォローもする

取材にうかがった日は、今年2人目の卒業生を送り出す日でした。てんかん発作を持つ中島真知子さんは1年間『ともしび』で作業を続け、はれて老人ホームの清掃員の職を得ました。「周りの人たちが親切にしてくれ、なんとか続けられ本当に勉強になりました。就職したらみんなはいないけれど、自分のやれる範囲で頑張っていこうと思っています」と話してくださいました。

卒業生の仕事探しはハローワークに声をかけたり、また本人に職種希望があれば県の障害者就労支援室に探してもらったりします。そして、就職後3ヶ月間は佐賀県障害者就労支援室、ハローワーク、そして『ともしび』の職員が交代でフォローにあたり、仕事ぶりを見に行ったり、相談を受けたり、就職先の方々とも話し合ったりします。

「佐賀県は障がい者の就労支援に先進的で、働きやすい環境を作ってくれるので助かっています。私はこのような仲間との出会いがあったからこそ事業所の運営をやってこられたと思います。先日もヘルスケア関連団体のワークショップに参加してたくさんの気づきがあり、パワーをもらいました」

小規模作業所の運営から始まり、NPO法人認証、さらにB型事業所の認定。江頭さんの行動力と情熱が、入所者はもちろん就労を支援する人たちにも確実に伝わっていると感じました。

就労継続支援A型事業所

■対象者
障がい者。通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者。障害者手帳はなくても可。

■サービス内容
通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者に支援。

■助成金額
利用者1人/1日に対して4,700円(佐賀県)

就労継続支援B型事業所

■対象者
障がい者。通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者。障害者手帳が必要。

■サービス内容
事業所内において、就労の機会や生活活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に向けた支援。

■助成金額
利用者1人/1日に対して4,700円(佐賀県)