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積み重ねてきた活動の成果を振り返る 創立50周年を迎えた 社団法人 日本リウマチ友の会

積み重ねてきた活動の成果を振り返る
創立50周年を迎えた 社団法人 日本リウマチ友の会

社団法人 日本リウマチ友の会は、今年、創立50周年を迎え、5月には創立50周年記念全国大会が開催されました。リウマチ患者の医療・福祉・社会環境の改善に大きな役割を果たし、また日本の代表的な患者団体として確かな存在感を持ち、患者団体の活動をリードしてきた、社団法人 日本リウマチ友の会。その50年のあゆみと次の時代に向けての課題を、長谷川三枝子会長にお聞きしました。

50年を経て、リウマチをめぐる医療や環境はどう変わったのでしょうか

50年前といえば、リウマチは不治の難病とされ、機能障害に苦しみながらひっそり暮らしている患者が多かった時代です。国立伊東温泉病院で友の会が発足した当時、日本初の疾病の患者団体だったようです。

近年は、早期診断・早期治療ができるようになり、症状が改善する患者が多くなりつつあります。特に、生物学的製剤が承認され、リウマチ治療は新しい時代を迎えたといわれ、「寛解」することが治療の目的となってきました。

患者と医療者の関係も変わってきました。昔は、医師に説明を求めることなどは容易にできませんでしたが、最近は医師の意識が変わり、患者と向き合ってくれる医師が増えたと感じています。

50年の中で特に大きな成果としては、何が挙げられますか

まず、1980年代から医師や製薬会社などの協力を得て手がけてきた自助具の開発です。私は「小さな自助具が大きな自立につなげている」と言っていますが、自助具により、多くの患者が「日常生活の自立」を実現できるようになりました。リウマチは女性に多い病気で、女性は日常生活に人の手を借りることがつらいと感じる人が多いので、自助具は大きな役割を果たしてきたと思います。昨今はユニバーサルデザインの時代ですが、自助具や福祉用具は大量生産ができずコストがかかるので、手に入れることができず不便な思いをしている患者はまだまだ多いようです。リウマチ患者だけでなく、機能障害を伴う他の疾病の患者さんや医療関係者にも自助具をもっと知ってほしいですね。

30年近く要望を続け、やっと実現した「リウマチ科」の標榜も大きな転機となりました。2007年に標榜見直しの問題が起きた時にも、患者と医療関係者が共にリウマチ科の存続を訴えました。リウマチ科の標榜がリウマチ治療に果たした役割が大きいことを、患者も医療関係者も認識しているのだと思います。

日本リウマチ友の会が、患者団体として信頼性を高めてきたのには、 どのような背景があるのでしょうか

当初から、専門医など医療関係者の指導や協力が得られてきたことが大きいと思います。国立伊東温泉病院の伊藤久次院長をはじめ、歴代の顧問医は、日本のリウマチ医の歴史そのものです。現在も、2,000人以上の医療関係者が特別会員として協力してくれています。だからこそ、確かな情報が提供でき、患者団体としての信頼性も育まれてきたと思います。

また、『リウマチ白書』の発行も私たちの大きな成果だと思います。白書があることで患者の現状が確実に伝えられ、訴えられ、医療関係者にも重要な情報となっています。医療にエビデンスがあるように、私たちにとっては患者の実態を伝えていくことが、患者団体ならではの説得力となっていくと思います。

では、最近の活動の中で、直面している課題とはどういったことでしょうか

インターネットなどが普及するにつれて、最近は「情報はタダ」と考える人が多くなり、当会に電話であれこれ聞くだけという人も増えてきました。こうした傾向は、他の患者団体にも共通するようです。当事者団体は、自分たちのための活動を行なうものですが、長い目で見ると社会的な役割を果たしています。その活動を支えるのは、会員一人ひとりの会費です。「情報はタダ」という風潮の中で、今後、どのように団体運営をしていくかは大きな課題です。

また、治療に必要な薬の治験も取り組むべき課題だと思います。薬の開発を進めるために必要なことですから、もっと患者が参加しやすいように仕組みを整えていかなければならないと思います。 機能障害が進んだまま高齢になった患者への対応も必要ですし、よい薬ができても必要な人に届かないと意味がありませんから、医療費の問題への取り組みも必要です。リウマチ医療は進展してきましたが、まだまだ患者の置かれている状況は厳しいと感じますね。

50年を経ましたが、日本リウマチ友の会として取り組むべき新しいテーマは何でしょうか

私たちの最終的な目標は、リウマチの原因が解明されて、どこで発症しても安心して治療が受けられるようになることです。

この50年間、医療政策が見えないところで決まって、ある日突然、発表されるという経験を何度もしてきました。医療政策の決定過程の中に、患者が国民を代表する立場で参加し、もっと患者や当事者家族の声が入らなければならないと思います。国民は、患者にも障がい者にもなりうるのだから、医療の近くにいる患者が国民を代表してもよいのではないでしょうか。

そして、政権が交代しても揺るぎない医療が実現するように、患者の権利や難病対策などを医療基本法の中にきちんと位置づけていかなければならないと思います。リウマチだけでなく国民全体の問題として、日本の医療を確立するための活動にかかわっていくことが、50年を経た日本リウマチ友の会が取り組むべき新しいテーマではないかと、今、思っています。

50年のあゆみ 社団法人 日本リウマチ友の会
1960年 伊東リウマチ友の会発足/機関誌『流』創刊号発行
1961年 日本リウマチ友の会と改称
1970年 日本リウマチ友の会と改称
1977年 世界リウマチ年記念『リウマチ手帳」『リウマチ白書』発行
1981年 厚生大臣表彰受賞
1983年 リウマチ科標榜に関する要望書を国会提出(1996年リウマチ科標榜が実現)
1985年 『'85リウマチ白書』発行、その後5年ごとに発行
1996年 リウマチ科標榜の実現
2002年 新薬認可の署名運動(2003年生物学的製剤が承認される)
2008年 公益法人改革で特例民法法人に移行
2010年 創立50周年記念全国大会開催