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第19回ヘルスケア関連団体ワークショップ

2019年8月24・25日、東京のファイザー株式会社アポロ・ラーニングセンターで、第19回ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会のワークショップが開催されました。

ヘルスケア関連団体における資金調達

なぜ資金調達が必要なのか、そのために何をすべきか。
支援を受ける側と支援をする側、2つの視点からの講演が行われました。

2019年8月24・25日、東京のファイザー株式会社アポロ・ラーニングセンターで、第19回ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会のワークショップが開催されました。今回のテーマは、「実践から学び活用できる資金調達」。団体の財政基盤強化についての昨年のテーマ「目的を達成するための新たな資金調達」からの学びをもとに、実際に資金調達を行った経験者の事例を聞き、実現可能な資金づくりに向けての活発な議論が行われました。

支援したいと思われる 団体になるために

福岡看護大学健康支援看護部門 成人看護学分野 教授(ワークショップ準備委員)
岩本 利恵さん

ヘルスケア関連団体は、企業と違い、事業をすれば収益は上がらず、支出が増えるという仕組みがあります。より良い事業を行う(事業の成長)ためには財源や組織の成長も必要です。すなわちヘルスケア関連団体の組織運営では、財源・事業・組織の成長が三位一体である必要があります。団体として何を目指しているのか、事業活動は支援者に対して説得力があるか、理事や役員全員が資金調達の意義と必要性を理解しているかが重要です。そこから団体に対して、支援したいという「共感」が生まれます。
そのために、どんな人が活動し、誰が寄付をしているか、協賛企業や補助金を出している自治体などの情報を会報誌やホームページなどで発信し、顔の見える団体、見つけてもらえる団体にならなければなりません。たとえばウェブサイトでの寄付の呼びかけでは、トップページで注目されやすく、目的が一目でわかるような写真やキャッチコピーの工夫が必要ですし、寄付金で具体的に何ができるかを明確に伝えましょう。また、企業への寄付依頼では、あらかじめ担当者名や部署を確認する、企業によって異なる書式への対応など、留意すべき点はたくさんあります。今回のワークショップで、支援される団体としての組織体制、実践につなげるための情報やスキルを学びとってほしいと思います。

企業はどんな団体に寄付をするのか

ファイザー株式会社(VHO-net事務局)
喜島 智香子 さん

支援をする立場から、企業はどんな団体に寄付をするのかについてお話をします。新規で寄付や賛助会員の依頼があった場合、まず団体のウェブサイトで役員一覧、会則/定款、収支報告、活動内容、協賛企業の一覧、寄付金の使途、資金の流れの透明性などをチェックします。寄付する側として、団体の活動内容の充実は支援者の満足感につながり、寄付をどう使っているかの透明性を担保することは安心感を与えます。ここになら寄付をしたい、力になりたいという共感がなければ寄付はしないと思います。
また、継続して寄付をもらうには、年度始めなどに昨年の事業報告と今年の事業計画を伝え、書類の書式なども確認することが重要です。しかし、毎年、書類を郵送すれば寄付をしてもらえると考え、何も事前に連絡や確認をしない団体があります。寄付をしてもらう前のお願い、そして寄付を受けた後には報告や感謝の気持ちを伝えることによって、次年度につながります。ただ、企業には年度ごとの予算があり、またフォーカスする分野が変わることもありますので、寄付を断られたり減額があっても、否定的な言動をせず、「また、よろしくお願いします」という気持ちで、あきらめず、真摯な態度で対応しましょう。資金調達の活路を見出していくために、寄付する側の事情や心理を考慮することは、とても大切です。

【私達のチャレンジ!】
2018年のワークショップで刺激を受け、新たな資金調達に挑戦した2 団体の事例発表が行われました。

事例発表①
難病患者の就労支援のために、沖縄指笛クラウドファンディング開催!
認定NPO法人 アンビシャス
照喜名 通 さん

昨年のワークショップでTazuko Ferguson(タズコ・ファーガソン/Madison4kids 創設メンバー)さんからアメリカの有名スポーツチーム・選手のグッズ提供を受け、資金調達のためのオークション開催を決意。ところが理事会で、集客の難しさなどを指摘され挫折する。
↓      
親交のあるAWWA(米国婦人福祉協会)に米軍基地内でのオークション実施をお願いし、賛同を得る。ところが諸事情で企画は次年度に持ち越しとなり再び、挫折。
↓      
アンビシャスの収入内訳は、行政47%(委託・補助金事業)、企業35%(賛助会員、協賛広告など)、個人11%(会費・寄付)、自主事業7%(物品販売など)。他力ではなく自力での収入、自主事業増加を目標に掲げ、仕切り直す。

10年前に取り組んだ、沖縄指笛の製造・販売を復活。難病患者の在宅就労を叶えるために、指笛を簡単に製作できる道具を開発し、より多くの人が就労でき、工賃アップを目指す。そのための資金調達へ――。

インターネットで寄付を募る沖縄指笛クラウドファンディングを開催!期間は2019年8月19日~10月4日。 目標金額3,000,000円「挫折もありましたが、あきらめないことが大切。クラウドファンディングは運営会社の選び方から寄付者を増やすための仕掛け、返礼品や感謝のメールなど、きめ細かな対策や対応が不可欠です。目標金額を目指して頑張っています ! 」
(2019年10月4日、支援総額¥1,126,000で終了)

事例発表②
災害支援プロジェクトを発足し、イベント開催で資金調達を行う
認定NPO法人 佐賀県難病支援ネットワーク
三原 睦子 さん

昨年のワークショップ後、資金調達について理事会での見直しを行う。資金調達の有資格者(認定ファンドレイザー®)が理事に加入。

人工呼吸器が必要な難病の子どもをもつ母親からの「災害が起こったとき、この子をどうしたらいいのか」という相談をきっかけに、災害支援対策の強化を決定。

現在、行っている大規模災害時における避難訓練を継続するための「災害支援プロジェクト」を発足。地域の防災意識を高め、災害弱者に配慮ができるまちづくりを目指す。

災害支援プロジェクトの発足イベントを開催し、資金調達を実施。寄付者への返礼品用に、患者・支援者・企業などから物品が多数、寄せられる。

当日の寄付金総額が41,000円に! 参加者からは「団結力がある」という言葉をもらい、患者の作品が、佐賀県ふるさと納税の返礼品リストに載ることにも。今後の資金調達に向けての大きな手応えを得る。

「イベントの準備期間が短く、一般参加者への寄付広報が不十分だったことが反省点。佐賀県では、ふるさと納税でNPO法人を指定できるシステムがあり、2019年度からはこの寄付金を災害支援に充当し、返礼品の工夫などでより多くの資金を集めたいと考えています」