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JSCリレー・フォー・ライフ・ジャパン2007 in 芦屋
つなげ、命のリレー

JSCリレー・フォー・ライフ・ジャパン2007 in 芦屋 つなげ、命のリレー

主催:リレー・フォー・ライフ関西実行委員会・財団法人日本対がん協会

2006年、日本で初めて実施された、がん患者支援のチャリティー・イベント「リレー・フォー・ライフ(以下RFL)」。第2回目となる2007年は兵庫県芦屋市の総合公園・陸上競技場において9月15〜16日、24時間イベントとして開催され、約4000人が参加しました。大会のメインテーマは「がんという病気に対する社会の意識を変えていこう」です。がん患者や家族、支援者や地域の市民が歩きながら語らい交流し、がんと闘う人たちの勇気を讃え希望をわかちあい、同時に一般の人にもがんという病気を身近に感じてもらおうというものです。ファイザー株式会社も協賛し、ファイザー社友会(OB)もボランティアスタッフとして参加しました。大会までの道程や感動的なゴールを迎えるまでの2日間をリポートします。

がん患者・家族だけでなく、さまざまな人が参加できるイベントに

午後1時30分。快晴のもとにRFL2007のサバイバー*ウォークがスタートしました。がん患者や家族、支援者たちによる約70組のチームが1周400mのトラックを次々と歩き始めたのです。各チームが掲げるフラッグには「癌でもいいじゃん♪」「おばあちゃん、がんばって」「HOPE」などさまざまなメッセージが書かれています。この「命のリレー」の象徴としてシンボルタスキが設けられ、昼間は各チームが、午後8時から翌朝までは市民ランナーがつなぎ、さらに午後12時30分のフィナーレを目指します。テレビを始めメディアの取材も数多く、夜にはNHKの生放送も行われ、このイベントの注目度を物語ります。

イベントの呼びかけ人は、大会の統括リーダーである大隅憲治さん。きっかけは2006年、つくば市での第1回RFLへの参加でした。「妻をがんで亡くし、がんと向き合った人間として何かをしたいという思いがありました。いろんな人が命について考え、語り合いながら歩く。僕自身も癒しと勇気をもらった。その時に、よし、来年は関西でやろうと決心しました。

口コミで集まってくれた実行委員は120人。そこには、たくさんのがん患者やがんを克服した人が参加しています。今回のRFLの特徴は、がん患者・家族だけでなく、幅広い地元の応援、ボランティアスタッフ、一般市民の方が参加・応援してくれたことです。運営資金もたくさんの企業から支援をいただきました」 つくば大会の呼びかけ人で、がん患者支援プロジェクトの三浦秀昭さんも実行委員の一人。「つくば大会では1000人が集まり、今回は事前登録だけで1000人を超えました。輪がどんどん広がったということ。メディアもたくさん取り上げてくれました。走る、歩く、イベントがある、地元の店が屋台を出してくれる、こういう形にするといろんな人や企業が参加できます。新しいモデルになるといいですね」と語ります。

地域の市民の盛り上がりで24時間ウォークを実現

秋とは名ばかりの暑さのなか、サバイバーたちのウォークが続きます。特設ステージでは支援コンサートやがんサバイバートークショーなどさまざまなイベントが行われ、会議室では講演会も開催されました。そして夕闇がせまる午後5時半、「希望と勇気のルミナリエ」としてグランドに約2500個のキャンドルがともされました。キャンドルのカバーは芦屋市内の幼稚園や小学生が描いた児童画や、会場に来られなかった全国のサバイバーから送られてきたもの。がんでなくなった方たちを偲び黙祷を捧げました。

そして午後8時。シンボルタスキがサバイバーから市民ランナーに。個人やチームで参加したキャンドルランのメンバーが明朝8時までの12時間、1周668mの外周コースを常に誰かがタスキをかけて走ったり歩いたり、命のリレーが続きます。

実は公共施設での24時間イベントは日本では開催が難しく、消防法や前例がないという理由で断られることが多いそうです。実際、つくば大会は8時間のリレーウォークでの開催でした。芦屋市で24時間イベントが実現したのは、地元の実行委員が地域のボランティア団体や商工会議所などに協力を呼びかけ、説得。地元の人々の盛り上がりが行政を動かしたのです。この夜、鹿児島、埼玉、千葉でもサテライト会場が設けられ、同じ空の下、同じ想いを抱いて歩きました。

想いを持って集まり手作りで、そんなRFLを広げていきたい

「翌日も快晴。午前9時からサバイバーウォークが始まり、ステージではフラダンスや阿波踊り、陸上自衛隊によるコンサートなどが行われていきます。2日間を通して、がん患者のイベントとは思えないほど明るい活気に満ちあふれていました。

「ほんとうにがん患者かどうかわからなくなります。楽しそうで元気だよって、みんなに思わせたいです。がんというとすぐに死を連想してしまうけど、普通に通院治療している人もたくさんいます。今後ひょっとしたら罹るかもしれないのです。きちんと検診を受けてほしい、そんな僕たちの想いを肌で感じてほしいと思います」と大隅さん。

午後12時30分。フィナーレです。全チームによる一斉ウォークが始まりました。全員が笑顔に涙。車椅子でゴールしたサバイバー。抱き合って喜ぶ人たち。感動的な命のリレーが幕を閉じました。「本当にたくさんの人に助けられ大きなイベントになりました。でもアメリカでは一番小さな単位で4人。1人の患者を応援する友だちが集まるというのも立派なRFLです。やるなら大きくと日本人は思いがちですが、そうではなく想いを持って集まり本当に手作りで行う。そういうスタンスで全国にどんどん広げていきたいですね」

そう語る大隅さんのもとに、早くも全国各地から来年はうちで、という声が寄せられているそうです。


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大会終了後の集計速報で、会場での寄付金は1,187,147円と発表されました。経費を引いた残りは全額日本対がん協会に寄付されます。

 
 
リレー・フォー・ライフ(Relay for Life)とは

1985年アメリカ・ワシントン州で、アメリカ対がん協会のゴルディー・クラット医師が始めたイベント。マラソンが得意なクラット氏が陸上競技場を24時間回り続けるなか、友人達は30分、医師と一緒に回るごとに25ドルずつを寄付し、1日で2万7千ドルが集まりました。翌年からは医師、患者やその家族、友人がチームを組むリレー形式になりました。単なる資金集めのイベントではなく、地域社会全体でがんと闘うための連帯感を育む場として大きく広がり、現在では全米4000カ所以上、世界22カ国で行われています。