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『長期療養中の子どもと暮らす親のおしゃべり会』 疾患の違いを超えて、支えあおう!

『長期療養中の子どもと暮らす親のおしゃべり会』
疾患の違いを超えて、支えあおう!

小児慢性特定疾患など、長期療養を余儀なくされている子どもたち、それを支え一緒に暮らす家族は、治療や学校、日々の生活の中でさまざまな不安を抱えています。疾患や症状は違っても親の悩みは同じなのでは……。そんな思いから2009年3月に発足した「長期療養中の子どもと暮らす親のおしゃべり会」。実行委員会のメンバーにお話を伺いました。

悩みを抱える親たちが集える場が必要という思いから発足

「長期療養中の子どもと暮らす親のおしゃべり会」は、1型糖尿病の患者家族会「DM風の会」代表の陶山えつ子さんの呼びかけで発足しました。陶山さんは、熊本県難病相談・支援センターに勤務していた時代にさまざまな難病に接し、「患者会もない長期療養中の子どもを持つ家族はどんなふうに暮らしているのだろう」、「子どものためにと頑張りすぎたり、話す相手がいなくて孤立したり、困っている人も多いのでは……」と常に考えていたとのことでした。そして、疾患が違っても、気軽に集まり支え合う会をつくりたいとずっと思っていたと語ります。

親交のあるヘルスケア関連団体ネットワーキングの会のメンバーに声を掛けると、「あったらいいよね、必要だよね」と意見が一致。熊本市の子育て支援課に相談に行ったところ、担当の保健師さんが支援の必要性に共感し、会の実現へと動き出しました。

「雑談も心のケア」をモットーに、気軽に参加できるスタイルで

2009年3月、熊本市総合保健福祉センターで「長期療養中の子どもと暮らす親の会」が熊本市との共催で開催されました。行政は会場確保と、熊本市内の小児慢性特定疾患の子どもを持つ全世帯への開催DMの発送を担当。参加者は50人を超え、新聞にも記事が掲載されました。

「子育ての真っ最中で、今まで声をあげられないお母さんたちがたくさんいたのです。行政の方々も、このような会が本当に必要なんだ、とわかってくれました」と陶山さん。以来、2ヵ月に一度のペースで「長期療養中の子どもと暮らす親のおしゃべり会」として続けられています。

これまで5回開催され、100人以上の人が参加しています。病院に置かれた告知チラシや口コミで知った人、開催後のアンケートで次回参加希望と回答した方などへ、行政から参加者へ連絡の案内が届きます。参加人数が多い時は乳幼児と思春期のグループに分け、テーマは決めず、「雑談も心のケア」をモットーにざっくばらんに思いを話すというスタイルで進められています。

おしゃべりから見えてくる課題
息の長い活動で親を支えていきたい

おしゃべり会で毎回出てくる声は、子どもの受け入れ先の問題についてです。社会保障制度について医療機関からの情報は少なく、保育所や幼稚園にどうしたら入れるのか情報を求める人も多いそうです。そして、兄弟児の問題。患児を兄弟に持つことで親に甘えたくてもじっと我慢をしている子どもたちの現状……。おしゃべり会で交わされる会話から、さまざまな社会的な歪みや課題が見え、ニーズも発掘されていきます。今後は助成金を申請して運営していける形に会を整えていきたいとのこと。そして、「たかがおしゃべり、されどおしゃべり。息の長い活動で親を支えていきたい」とみなさんで抱負を語りました。

実行委員会メンバーの会に寄せるそれぞれの思い

現在、実行委員会のメンバーは8人。ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会からは、陶山さんを含め4名が関わっています。取材に参加いただけたメンバーの方に、それぞれの思いをお聞きしました。

血液疾患患者と家族晴れの会 堀田めぐみさん
血液疾患患者は若年発症と成人発症の悩みが大きく違います。こういう会があれば親のためにいいなと思っていました。また病院単位で小児がんの小さな患者会があり、『晴れの会』とも連携しつつ、この会とのつなぎ目のような役割ができればと思っています。

熊本IBD 長廣幸さん
15歳でクローン病を発症した患者当事者として、当時の私自身の気持ち、子どもが親の思いをどう受け止めていたのかなど、少しでも代弁できればと思っています。

若年性関節リウマチの子どもを持つ親の会 あすなろ会 谷口あけみさん
健常児の長女と疾患を持つ次女がいます。時間と労力は否応なく病気の子どもにとられ、でも元気な子も放っておけない。このジレンマは必ず起こります。そのあたりでもお互いに話し合いできればと思っています。

第1回目の集いに参加し協力したいと実行委員会に入った 落合順子さん(看護師)
小児慢性疾患は、思春期での身体の変化などもあり、成長の段階で症状が変化したりします。ほっとできないんですね。集いに参加して、みんな語りたいことをたくさん抱えていると知ったことで私自身も救われた気がしました。

平江由紀さん(主婦)
民間の教育機関で障がい児の指導をしてきた中で多くの母親と話しをし、こういう会の必要性をひしひしと感じていました。