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“地域住民が主役”のネットワーク
「地域の医療と健康を考える会」(GHWの会)
埼玉県本庄市で活動する

埼玉県本庄市で活動する
“地域住民が主役”のネットワーク「地域の医療と健康を考える会」(GHWの会)

群馬大学医学部の講義から生まれたつながり

「地域の医療と健康を考える会」(GHWの会)設立のきっかけとなったのは、2006年に群馬大学医学部教授酒巻哲夫さんが行った「患者に聞く」という講義でした。この講義に、早稲田大学大学院教授加納貞彦さんや、本庄市在住の大木里美さん(「中枢性尿崩症(CDI)の会」)が患者講師として参加したことから、群馬大学医学部と早稲田大学本庄キャンパス、本庄市民のつながりが生まれました。

もともと本庄市は群馬県に隣接し、ゆかりも深かったため、このネットワークを活かそうと、群馬大学医学部関係者(G)、本庄地域市民(H)、早稲田大学大学院国際情報通信研究科関係者(W)が協力し、2007年に「地域の医療と健康を考える会(以下、GHWの会)」が結成されました。

GHWの会の目的は、地域住民と医療機関や行政などとの間を取り持ち、さらに地域住民間の情報交流を促進して、健康や医療に関する安心感を醸成し、地域社会と住民をエンパワーする仕組みをつくること。ひいては、地域住民を中心に行政、医療・福祉従事者、ボランティア・患者団体、研究者(大学関係者)などさまざまな立場の人が集って知恵を出し合い、相互連携により、地域の医療や福祉の在り方を検討し、実践することを掲げています。また、群馬大学医学部生や早稲田大学院生の参加を促し、将来、地域で活動する人材の育成も視野に入れています。

本庄の恵まれた環境が育むネットワーク

本庄市は、関越自動車道、JR高崎線・JR八高線・国道17号線などが通り、2004年には上越新幹線早稲田本庄駅も開業するなど、東京と上信越・北陸方面を結ぶ、いわば北関東の玄関口にもあたります。また「早稲田リサーチパーク地区」として、早稲田大学本庄キャンパスを核とする教育・研究施設の開設や、先端技術産業を中心とする製造業の立地などが進み、田園と丘陵部の広がる緑豊かな環境の中で新しいまちづくりが行われています。

GHWの会も早稲田大学本庄キャンパス内のリサーチパークを利用して、2〜3ヶ月ごとに、各界の第一線で活躍する医師や大学教授、研究者などによる講演会を開催。講演会後には、講師を交えてのグループディスカッションや懇親会の場を設けています。講演会の模様は地元のケーブルテレビでも紹介され、地域での注目度も高まってきました。

次第に地域住民の参加が増え、コミュニティが育ってきたことをふまえて、今年からは「財団法人本庄国際リサーチパーク研究推進機構」がGHWの会の運営に参加しています。同財団は、市民参加による地域交流・協働活動の促進や、まちづくり、教育・文化にかかわる地域人材の育成を目指す組織であることから、本庄市でのネットワークのさらなる拡がりや活動の充実が期待されます。

心のケアや災害対策にも取り組み、地域の絆づくりを目指す

GHWの会の講演会では、医療や福祉に関する基本的な問題からタイムリーな話題まで、多彩なテーマを取り上げてきました。最近は特に「心のケア」への取り組みに注目しています。今年2月の埼玉県立大学保健医療福祉学部教授高畑隆さんによる講演会「心の健康と精神保健福祉士」に続き、5月には「スピリチュアル(精神的な)ケア」や「ケアする人のケア」などを探求する飛騨千光寺(岐阜県)住職大下大圓師による講演会「他人の力を借りていいんだよ〜縁生(えにし)を活かす地域コミュニケーション」を開催しました。

次回は、「災害時ホルモン補給支援チーム岡本の活動報告‐災害時の『問題意識縁』による連携」と題して、東日本大震災被災地での医療活動の様子を聞く予定です。多様なテーマに柔軟に取り組むGHWの会について、加納さんは、「偶然のつながりからどんどん輪が拡がり、本庄を中心とした頼もしいネットワークができ上がりました。今、すぐ目に見える成果がなくても、こうした活動を続けいくことで、今回の震災のような時にも役立つ、地域の絆を育むことが重要ではないかと考えています」と語ります。

医療機関や行政の主導ではなく、地域住民が主役となり、地域のさまざまな専門家と連携する新しい形のネットワークに、今後も注目です。

これまでの主要な講演テーマ

・街中保健室
・地域の医療と健康について思うこと
・健康とコミュニケーション
・ユビキタスケアノートプロジェクト
・生まれ育った町、本庄における活動状況
・寺院におけるコミュニティとしての役割・今昔
・難病患者団体による難病患者の支援活動について
・本庄地域における高齢者のためのパソコン活動
・地域連携、グループプラクティスの実践
・インターネットを利用した精神障害の早期発見治療
・患者さんの側に立って考え、道を探す
・救急医療に携わって〜地域住民が心がけておくべきこと
・埼玉北地域における地域医療を考える
・緩和ケアの実際
・医療の情報化がもたらす恩恵
・さまざまな世界の医療制度
・排泄障害ケアの基礎知識
・一般病棟での緩和ケア・緩和ケア病棟での実際
・新しい試み、患者と市民が医学生を育てる
・総合診療医の育成と地域医療再生

地域の医療と健康を考える会(GHWの会)概要
■リーダー:
 加納貞彦さん(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)
 酒巻哲夫さん(群馬大学医学部医療情報部教授)
■設立:2007年6月
■活動内容:年間数回の講演会を開催
■ホームページ:http://ghwnokai.jimdo.com/