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ワークショップ15回の軌跡と継続・変革について

ワークショップ15回の軌跡と継続・変革について

ヘルスケア関連団体ワークショップは、今年で15回目という節目の開催となりました。そこで、VHO-net結成時から世話人を務めてきた増田一世さん(公益社団法人 やどかりの里)に、ワークショップの15回の歩みについての振り返りや、課題についてお聞きしました。

ワークショップの軌跡
15年継続できた理由とは

増田 一世 さん(中央世話人)
今年の「軌跡・継続・変革」というテーマは、ヘルスケア関連団体にかかわる私たちにとっては、“古くて新しい課題”です。VHO-netの活動が始まった頃、あけぼの会のワット隆子さんが「患者団体のメンバーも、もっと堂々とするべき」と言われていたことを思い出しますが、15年を経て、ワークショップに集う方々はずいぶん前向きに変わり、着実にたくましくなってきたと感じます。困難に直面しても、ここで出会った仲間やそのネットワークによって支えられていることも多く、目に見える形でなくても、確実なつながりが生まれており、そこに15年続けたことの意義があると思います。

その一方で、毎年、亡くなられた方の報告があり、多くの方が病気や障がいを抱え、常に命を見つめ合いながら生きていることを改めて感じます。苦難を乗り越えて、リーダーとして仲間のことを考えていこうと活動されている…そんな心持ちの方々だからこそ、明るく力強いという印象が生まれるのでしょう。

各地に地域学習会があることの重要性も改めて認識しています。各地でのネットワークがあり、それぞれに活動の蓄積があるから、年に1回集まるワークショップでも深みのある話し合いができますし、地域学習会から輪が広がって、毎年、新しい方が参加していくことも大切なことだと思います。事務局を担い、また財政面でも支援してくださっているファイザー株式会社の存在も大きいと感謝しています。

さらに歩みを続けていくための変革

VHO-netでは、2013年から活動のあり方を見直し、会則を改定し、世話人や地域学習会の運営委員に任期を設ける“変革”を行いました。地域によっては2年で運営委員を交代するのは難しいという問題も明らかになってきました。確かに交代していくのは大変かもしれませんが、同じ人がずっと担い続けるのではなく、多くの人たちが運営にかかわっていくことの意義は伝わっているのではないかと思います。地域で次の担い手になってくれる人もきっといるはずだけれど、まだ出会えていないのではないかという気もします。世話人会もかかわり、そうした人材とのつながりを探し、ネットワークを広げていくことが次の課題でもありますね。VHO-netも緩やかに、しかし着実により良く変わりながら、地域でみなさんが生き生きと活動を続けていけるようにしたいと考えています。

ほかのネットワークではできないことをVHO-netで

それぞれの団体の活動の質を向上させていくことに主眼を置き、リーダー同士がみなで育ち合うことが、私たちの活動の目的です。慢性疾患や難病、精神疾患の分野では社会資源の活用が遅れている面がありますので、リーダーたちが広い視野で権利意識をもつことも大切だと考えています。

難病法施行を契機として今後、さまざまな変化や動きも予想されますが、VHO-netのメンバーにはJPA(一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会)やJD(特定非営利活動法人 日本障害者協議会)でも活動されている方も多く、それらの組織では行政への働きかけなどといった今までの活動の蓄積があります。VHO-netでは多様な団体のリーダーが集まるという特徴から、そうした既存の組織やネットワークではできないこと、足りていないこと、異なる発想の活動、団体の成長をサポートする活動を行っていくべきではないかと考えています。それは目立たない地道な活動ではありますが、リーダー各自が確実に成長し、それぞれの団体や、地域の当事者をバックアップすることにつながります。ヘルスケア関連団体のリーダーの出会いの場であり、体験を分かち合い、エンパワメントする場であるワークショップという私たちの活動の原点を大切にしながら、全国のみなさんとまた、新しい歩みを始めていきたいと思います。