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第16回ヘルスケア関連団体ワークショップ 分科会&グループ発表

第16回ヘルスケア関連団体ワークショップ 分科会&グループ発表

どんなリーダーでありたいのか
理想は? 現実は? 患者団体としてのビジョンは?
6グループによる熱い討論が行われる

3人による基調講演、パネルディスカッションを経て、6グループに分かれての分科会がスタートしました。「わたしの目指すリーダーとは」のテーマのもとに、それぞれの団体の活動内容や課題、それぞれが目指すリーダー像について、疾患や団体の規模や歴史の違いを越えて話し合いが進行。アポロ・ラーニングセンターの各会議室からは、活発な発言や笑い声が絶えませんでした。16日に行われたグループ発表の内容を要約してお伝えします。

グループ1
魅力的な“患者団体という木”には人が集う

今、リーダーとして大切にしていること
多角的な視点をもつ(ほかの患者団体ともつながる)こと、会員のニーズを把握すること。リーダーとしてのビジョンをもち、だれでも運営できるシステムづくりを行い、適材適所のタレント(才能)を発掘していくこと。

●患者団体を“木”にたとえると、“発信する”という太い幹から伸びる枝葉に、当事者、家族、行政、医療者、協力者が存在し、つながる。その根本には社会からのニーズがある。
●つながることの大切さで討論が進行。リーダーが育つことで、団体という木を太くし、枯らすことのないように継続していきたい。

グループ2
“ありのまま”

今、リーダーとして大切にしていること
理念、目的、目標といった原点を忘れないこと。心の中にビジョンをもつこと。不得手も弱点も、ありのままを見せることで会員が協力してくれる。会員の強みを見つけて活かすこと。

●理想のリーダーに求められる要素
 コミュニケーション能力・実行力・変化に対応する力・情報収集能力・会員や役員が自主的に動けるような工夫、過去に縛られない自由な発想。
●目指すリーダー像
 人を育てることができる(後継者、さらに医療関係者など団体にかかわるステークホルダーなど)。活動の積み重ねによって社会を変えることができる。face to faceの交流会などによって話すことの大切さを忘れない。

グループ3
人間性を磨いて魅力的になりたい

今、リーダーとして大切にしていること
人の話を聞き、周りへの気配りを大切にすること。団体の内部・外部、双方に感謝の気持ちを伝えること。役員間では適度な距離感を保つこと。

●強いリーダーシップを発揮するタイプは、決定や実行が早い反面、後継者が育ちにくい。周りに支えられるタイプは役割分担ができ、後継者が育ちやすい。
 短期・中期・長期のビジョンを考えられる。支持と信用を得るために、真摯で誠実な行動を心がける。セルフケアができる。このようなリーダーを目指していくために、人間性を磨き、魅力的な存在になっていきたい。

グループ4
だれがリーダーになっても揺れない組織づくりを

今、リーダーとして大切にしていること
入会時の気持ちを忘れないこと。患者・家族を孤立させない配慮。何でも語り合える雰囲気づくり。役割分担。現実を把握し、その先も見ること。次のリーダーの発掘。他団体との交流。

●将来の団体のビジョン
 会員一人ひとりが自立し、社会の一員として地域で尊厳をもって暮らせるようにしていきたい。そのためには、だれがリーダーになってもミッションが実現できる組織づくりや活動を行い、患者もその家族も生きやすい社会の実現を目指したい。
●目指すリーダー像
 ブレない強さ(目的・情熱・使命)をもつ。“よい加減”(歯車 の“遊び”のような部分、柔軟性をもつこと)も大切。全体を見る力をもっている(活動の優先順位を考慮でき、一歩引いて見られる立ち位置を保ち、少し先を見通す力がある)。

グループ5
ビジョンがあってこそのリーダー

今、リーダーとして大切にしていること
半歩先を考慮すること。自分の役割がブレないようにすること。社会的なニーズの変化に対応すること。自身がロールモデルになること。多様な選択肢をもつこと。

●将来の団体のビジョン
 患者団体の国際交流を通して平和に貢献したい。患者の主体性を伸ばすこと、そして障がいのある人が我慢したりあきらめたりしなくてもいい社会を目指す。
●目指すリーダー像
 さまざまな分野の人とつながる“巻き込み型”リーダーで啓発力を高める。客観的・俯瞰的な視点をもったマルチ人間であり、つなげる力と調整力をもつ。

グループ6
社会を動かす力が患者団体にはある

今、リーダーとして大切にしていること
半歩先を考慮すること。自分の役割がブレないようにすること。社会的なニーズの変化に対応すること。自身がロールモデルになること。多様な選択肢をもつこと。

●将来の団体のビジョン
 患者団体の国際交流を通して平和に貢献したい。患者の主体性を伸ばすこと、そして障がいのある人が我慢したりあきらめたりしなくてもいい社会を目指す。
●目指すリーダー像
 さまざまな分野の人とつながる“巻き込み型”リーダーで啓発力を高める。客観的・俯瞰的な視点をもったマルチ人間であり、つなげる力と調整力をもつ。

全体討論:リーダーのタイプ、リーダーを続けるモチベーション… 2日間を通しての「気づき」について話し合う
全体討論では、グループ発表への質疑応答を含め、2日間にわたるワークショップを通しての意見や感想が発表され、議論が行われました。

リーダーのタイプは、カリスマタイプとサーバントタイプがあります。カリスマタイプは引っ張っていく、あるいは上意下達で命令を出していくタイプであり、サーバントタイプはメンバーが活動しやすい環境を整えていく調整型タイプ。どちらが良いかは患者団体の状況にもよりますが、今、求められているのは後者の調整型ではないかという意見が出ました。それに対して、「リーダーとして弱い部分も隠さず、ありのままを見せることで会員が協力してくれている。また、会員とのコミュニケーションを深め、得意な分野・能力を見つけて活躍してもらっている」との発言がありました。

リーダーになった原点、続けていくためのモチベーションとして「損得勘定抜きで得られるものがある」という意見が挙がりました。これに対して、「患者団体の活動は基本的にボランティア。対価や報酬はないが、情熱や思いがあるからこそ続けられる」「難病発症時や障がい者となった時に、患者団体にさまざまな面で助けてもらった。リーダーになって、その時の感謝の気持ちを新しい会員に伝え、支援していきたい」「リーダーになったことで、自分も支援されていることをひしひしと感じる。会員が輝くことでリーダーは精神的な見返りを受け取っている。それがモチベーション」などの発言が盛んに飛び交いました。

「患者団体には社会を動かす力がある」というグループ発表についても、さまざまな意見が出ました。「難病を発症する、障がい者になるなどして初めて、住みにくい社会だと気づく人も多い。そのような声が法律や施策に反映されていない現実がある。政・財・患の視点が必要では」「一つひとつのヘルスケア関連団体の活動は、これからの生きやすい社会づくりの一歩になっている。患者団体のリーダーは、だれもが暮らしやすい社会をつくるリーダーでもあるという思いをもった」また「具体的にどういうアプローチがあるのか。社会を変えていくための知恵を集積していくと、VHO-netらしい提言ができるのではないかという可能性を感じた」といった先進的な意見で討論が締めくくられました。

リーダーシップは、VHO-netに所属する団体にとって普遍的なテーマでもあります。ワークショップに参加したリーダーが今回の成果をそれぞれの患者団体に持ち帰り、どう活かしていくのかが期待されます。