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第20回ヘルスケア関連団体ワークショップ
分科会 & グループ発表
2030年、10年後の「ありたい姿」実現に向け課題を解決し、
具体的な目標づくりについて話し合う

ヘルスケア関連団体ワークショップ
分科会 & グループ発表
2030年、10年後の「ありたい姿」実現に向け課題を解決し、具体的な目標づくりについて話し合う

「ファイアーサイド・チャット」「ワークショップ趣旨説明」を視聴後、参加者は7つのグループに分かれ分科会がスタート。 140分(前半60分・後半80分)と、これまでのワークショップよりも短いスケジュールの中で、緊張感をもちつつ、チャットも活用した多様な意見交換が繰り広げられました。VHO-netが絞り込んだSDGsの7つの目標に対し、現状の課題解決にはどのような活動が必要か。分科会のグループ発表、質疑応答を要約してご紹介します。

グループ1:ピアサポートの確立

▼2030に向けた目標
・ピアサポートが医療、市民と連携し、より十全に機能する達成に向けての取り組み

▼レベルアップ研修
・傾聴・共感だけではなく、相談者が周囲との調和の中で生きられる姿勢・言葉がけ。医療や行政と連携するための制度や法律、公的サービスの知識やコミュニケーションスキルの向上

▼人材確保
・社会への発信を通して、多様な背景とニーズをもつ会員と支援者(スーパーバイザーなど)を獲得する

▼VHO-netの横のつながりを活かし、ピアサポートでのモデル事例を集約し、多様な意見をまとめた成果物(冊子など)の作成

Q スーパーバイザーはどんな人がなるのか?
A 医師や弁護士、教育委員会など、ピアサポーターを支える外部の専門家と想定

グループ2:社会との協働

▼2030に向けた目標
・病気を隠さなくていい社会
・自分たちの権利を主張できる社会

▼達成に向けての取り組み
・VHO-netの内で、他団体に関心をもち、つながる手段として、会報に他団体を紹介するなど

▼VHO-netの外へ、関心を広げる
・企業、学校(学園祭にブース出展、講義など)、行政、医療関係者、一般の人など、それぞれの立場や事情を知り、話し合いの場やオンライン研修、サロン開催などにつなげる

▼社会との協働 
・お互いを知り、個々の課題から社会の課題を見つけ、協働して解決していく

グループ3:医療に参画する

▼2030に向けた目標と取り組み
・VHO-net版PPI推奨動画の作成
・PPIに参画していることを周知してもらうための啓発ツール

▼VHO-netの団体、メンバー全員がPPIについて、明確に説明する能力を身につける。それによりPPIに参画する患者・市民を増やしていく

Q PPI推奨動画の具体的な内容は?
A 『PPIガイドブック』※にある、「患者・市民向けの患者・市民参画10か条」に従って動画作成ができればと話し合った

※『患者・市民参画(PPI)ガイドブック』国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)発行
PPI:患者・市民参画

グループ4:行動基準を守る

▼2030に向けた目標
・信頼される団体を目指す
・達成に向けての取り組み

▼運営の行動基準
・正しい情報発信・収集、法令遵守、個人情報を守る、コンプライアンス委員会設立

▼役員の行動基準
・意思疎通を図る、会員ニーズを拾い上げる、正しい情報発信・収集、法令遵守、個人情報を守る、お互いの意見の尊重

▼参加者の行動基準
・お互いの意見の尊重、自分の意見を押しつけない、他者を批判・非難しない、健康食品・宗教などの勧誘をしない

▼数値目標
・透明性のある健全な団体と認められ、連携機関を今の1.5倍に、また会員が満足する団体となり、会員数を1.5倍にする

グループ5:災害からいのちを守る

▼2030に向けた目標
・災害対策の不備による死者0(ゼロ)達成に向けての取り組み

▼災害発生前
・被災体験や対策の情報提供・共有、マイタイムラインの作成・支援、安否確認の練習など 

▼災害発生中・発生後
・安否確認、物理的・精神的な支援のために会報・メール・SNS・訪問などあらゆる手段を使う

▼連絡手段の充実
・役員間でのオンライン講習会、会報などでのオンラインに対する意識改革の呼びかけ、VHO-netのつながりや他地域・他団体との関係を普段から大切に、地域の相互応援、協定の確認

▼外に向けた発信
・障がい・疾病への理解を求める、行政~地域福祉計画策定への参画、福祉避難所の開設・運営での意見交換、地域との連携~要支援者の存在を把握してもらい避難訓練時にニーズを伝える

グループ6:多様な財源の確保と人材育成

▼2030に向けた目標   
・社会の課題解決の担い手となる(信頼性の確保)
・共生社会の実現に寄与する 
・会員全員がオンラインツールでつながり、相談・情報交換ができる仕組みづくり
・多職種での役員構成~専門(多職種)50%・その他(患者・家族)50%
・YouTubeなどで活動を可視化し、寄付を増やす
・財源のバランスを検討し自立する
・実態調査を行い、患者の声を数値化。論理的に社会に課題を発信し支援の輪を広げる、など

Q 「共生社会の実現に寄与」とは、具体的に何をするのか?
A 障がいや難病のある人たちが、積極的に参加・貢献していける社会=共生社会。特に、福祉と教育分野で、個性と人格を尊重した、全員参加型社会を目指すことを話し合った。
事例 : 教育機関での車椅子の体験学習など

グループ7:ダイバーシティ& インクルージョンの取り組み

▼2030に向けた目標
・多様性と社会的包摂性が実現された社会

▼達成に向けての取り組み
・社会の課題が投影されている団体の現状の確認(強み、弱み、団体を取り巻く状況、ビジョン、ミッションなど)
・解決できない課題に対し、団体の多様性の視点で解決策を探る(外国人対応ができる人など、内部の多様性を拡大する)
・緩やかな連携でつながり、柔軟性と多様性を保障する(外部団体とのつながりも確保、NGO、プロボノの活用など)

意見交換:内なる活動を大切に 社会を巻き込む、外部への働きかけを

分科会を終え、再び全体会での意見交換が行われました。

「グループ討論や発表を通しての共通部分は、団体内部の活動の充実、外部に対しては、さまざまな人や機関と連携し、設定目標に近づいていくこと」「患者団体の存在意義を考えれば、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の実現は基本目標。私たちは多様性の対象となり、D&I実現にどう能動的にかかわっていくかという視点が大切」という意見があり、多くの気づきを得ました。

各グループが掲げた目標に対しては、「今回、10年後の目標を導き出したが、これは5年では到達できないという自覚は大切。しかし、10年かければできるという強い思いで、具体的な動きに落とし込んでいこう」「団体の活動を、多様性や社会的包摂性を考えた行動として、どう意識づけるか等、課題を自分事にできる仕掛けが必要ではないか」などの意見が出ました。これらの成果を団体に持ち帰り、日々の活動と10年後の目標に向けた活動を連動させていくことを確認した場となりました。

閉会の挨拶で、中央世話人の阿部一彦さんが「課題解決に向けて、多くの機関や市民を巻き込んでいく。それが、誰もが暮らしやすい地域や社会=共生社会をつくっていくことを共有できた。20周年記念にふさわしい素晴らしいワークショップとなった」と締めくくりました。