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このサイトは、ファイザー株式会社が社会貢献活動として発行しております『まねきねこ』の情報誌のウェブ版であり、個別の疾患の相談は受け付けておりません。
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第22回ヘルスケア関連団体ワークショップ
「3年ぶりに対面形式での討論や交流も
実施社会への発信やパートナーシップについて考える」

第22回ヘルスケア関連団体ワークショップ
「3年ぶりに対面形式での討論や交流も実施社会への発信やパートナーシップについて考える」

2022年10月22・23日、第22回ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会のワークショップが、「VHO-net新たなるチャレンジ! 〜私たちの声を社会に~」をテーマとして、対面(会場:東京都 ホテルサンルートプラザ新宿)とオンラインを併用したハイブリッド形式で開催され、基調講演、分科会、全体討論など多彩なプログラムが展開されました。

対面会場とオンラインが一体となって討論

開会にあたり、VHO-net代表理事の森幸子さんは、「法人格を取得し、まさに今、私たちの新たなるチャレンジが始まりました。

VHO-netで学んだメンバーがさらに活躍できるように、学習の機会を発展させていきたいと考えています」と挨拶。続いて、ファイザー株式会社代表取締役社長の原田明久氏がビデオメッセージで「ダイバーシティに富むVHO-netの皆さんがそれぞれの幅広い知見を活かし、楽しみながら議論することを期待しています。今後も、VHO-netと協力関係を維持し、協働していきたいと思います」とお祝いの挨拶を述べました。

その後、テーマに沿って「患者の声を医療に活かす」「患者の声を社会に活かす」「より良いパートナーシップを育む」という3つの視点から基調講演と分科会での話し合いが行われました。対面会場にはオンライン本部が設けられ、技術スタッフのサポートのもと、オンライン参加者も会場の雰囲気を感じながらプログラムが進行。また、主催が(一社)VHO-netとなった第22回では、ファイザーの社員10名がボランティアとして参加し、ワークショップをサポートしました。

グループ発表やその後の全体討論では、会場とオンライン、双方の参加者が一体となり、活発な意見交換が繰り広げられました。
最後にVHO-net監事の伊藤智樹さんが「この場には貴重な意見や経験をもつ人たちが集まっていることを再認識できた。対面とオンラインのそれぞれの良さも感じられ、実り豊かなワークショップだったと思います」と締めくくり、2日間の日程を終えました。

基調講演 1:「患者の声を医療に活かす」 

福岡看護大学健康支援看護部門<br>成人看護分野 教授 岩本 利恵 さん 福岡看護大学健康支援看護部門
成人看護分野 教授 岩本 利恵 さん
正しく医療情報を理解し自分らしい意思決定を

患者の意思決定には、医療者が決めるパターナリズム、患者が自立的に決めるインフォームドディシジョン、医療者と患者が一緒に決めるシェアードディシジョンがあります。患者中心の意思決定とは、選択肢のメリットとデメリットを考えて患者自身がどう生きるかを決定することです。

ヘルスリテラシー(医療情報を理解・活用する力)を得て、意思決定ガイド ※1を活用して自分の考えを整理して、自分の意志を伝えられるようになりたい。すべての選択肢を自分でよく考えて検討し、自分が大切にしたいことを医療従事者に伝える。患者力を活かして医療者と一緒に考えていくことが大切ではないかと考えています。

さらに、意思決定をするタイミングはさまざまで、疾患によっては必ず決めなくてはならないこともあり、時間に余裕がある場合、急いで決定する必要がある場合もあります。選択肢が明確になったときに意思決定ガイドを活用して、自分らしい意思決定をしてほしいと考えています。

今回のワークショップでは、自分自身で意思決定できない人たちのことも含めて、どのように意思決定を進めていくか、という話し合いをしてほしいと期待しています。

※1 意思決定ガイド:利用可能な選択肢を提示し、それぞれの選択肢のメリット・デメリットに関するエビデンスを整理するとともに、意思決定をする本人の価値観を明確にすることを助けるツール

基調講演 2:「患者の声を社会に活かす」

一般社団法人 医療開発基盤研究所 <br>代表理事 今村 恭子 さん 一般社団法人 医療開発基盤研究所
代表理事 今村 恭子 さん
理解力や発信力を磨き団体を社会的な存在に

社会的にも患者の声への期待が高まっています。そこで、患者の声を届けるために、患者の発信力や情報リテラシーを磨くことが必要と考えて、医療開発基盤研究所(Ji4pe)を立ち上げ、オンライン学習コースを開設しました。研究倫理や育薬 ※2への参画、企業との連携の基本を学ぶコースや、組織的なリーダーシップの育成を目指すコース、倫理審査委員を育成するコースなどを設けています。
患者の声によって、医療者や製薬企業をより良く変えていくためには、企業・業界側、患者・市民側がともにさらに学び、共通の理解と認識をもち、コミュニケーション能力を磨くことが大切だと思います。

そして、患者の声を社会に活かすためには、患者団体としてのビジョンやミッションを明確にして、十分な理解のもとに責任ある発言を行い、積極的に活動するなど、患者団体が社会的な存在になることも必要です。さらに患者や家族だけでなく、もっと広く一般市民など新しい仲間を巻き込み、コラボレーションしていってほしい。そのためにもコミュニケーション力が必要だと思います。VHO-net会員専用のコースも開設しているので積極的に参加して学んでください。

※2育薬:薬をより良いものへと育てること

基調講演 3:「より良いパートナーシップを育む」

Fabry NEXT<br>代表 石原 八重子 さん Fabry NEXT
代表 石原 八重子 さん
問題提起として団体としての経験を紹介

私たちの団体は、疾患の特性から、製薬企業や研究者から協力を求められることが多く、パートナーシップについて課題を感じる経験もしてきました。そこで、私たちの事例や、皆さんの経験も共有しながら、団体として企業や研究者とより良いパートナーシップを育んでいくことについて話し合っていただきたいと思います。

・事例1 学生の患者調査
患者アンケート調査の依頼。設問づくりまで協力を求められ対応しきれなかった。協力できるところ、できないところを明確にすればよかったと思う。
・事例2 企業の患者調査
公平な調査のため調査会社が窓口となっており、事情はわかるが、依頼元がわからない調査に会員を紹介するのは不安があり、断った。
・事例3 講演依頼の契約書
製薬企業からの社内向けに患者の講演を依頼されたが、1回限りの講演との約束だったのに、契約書では動画を再利用することになっていたため、断った。
・事例4 謝礼の考え方
労力と比較して講演料がとても低く設定されていたり、医療者との差が大きかったりして疑問に思うことがある。一方で無償でも協力したい場合もある。
・事例5 患者団体と患者個人の関係
団体として断ったのに、会員に直接依頼されることがある。患者は調査や研究に協力したいという気持ちが強く、無理をして引き受けてしまいがち。